H･I･M･E ーactressー

第29章 日常14：はじめの一歩

６

  母ちゃんに着替えを用意して貰って、翔真くんがお風呂に向かう。

  部屋に一人になった僕は、さっきまで翔真くんが座っていたベッドの上にゴロンと横になった。

  そしたらさ、色々……本当に色々あったから、多分疲れてたんだと思う、何だか凄く眠くなって来ちゃって……


  翔真くんが戻って来るまで……ね？
  ちょっとだけ……ね？


  襲って来る睡魔に白旗を挙げた。




  うん、ちょっとだけのつもりだったんだよ？

  でもさ、自分ではそんなに感じてなかったけど、よっぽど疲れてたんだろね。

  けっこう深く寝入っちゃったみたいで……

  「智樹？」

  ポタポタとほっぺに冷たい物を感じて、ゆっくり瞼を持ち上げると、翔真くんのちょっぴり紅潮したお顔があって……

  「しょ……まくん……、好き♡」

  大好き……、って首に腕を回した。

  「俺もだよ、智樹」
  「ほんと……に？」


  だったらちゃんと言って？
  じゃないと僕、翔真くんみたく頭良くないから、分かんないよ？


  「ああ、俺も好きだよ」
  「じゃあキスして？」

  僕が強請ると、翔真くんは「うん」と頷いてから、僕の額にキスをしてくれて、それからほっぺにもキスをしてくれて、それから唇にも……

  僕はそれがとても嬉しくて、「もっと」って言いたくなるけど、ここから先は……まだダメなんだよね？

  だって翔真くんとの約束だもんね？

  「ふふ、翔真くん父ちゃんと同じ匂いがする」

  まるで翔真くんじゃないみたいだ。

  「ああ、風呂場にあったシャンプー、アレ親父のだったんだ？」
  「うん、父ちゃんアレしか使わないから」

ってゆーか、翔真くん……

  「おじさんみたいだね」
  「え、ああ、この服？  仕方なくね？  親父さんの借りてるわけだし……」
  「ふふ、でも意外と似合ってるよ？」
  「そ、そう？  あ、でもさぁ、下着だけは……ちょっと慣れないっつーか…」


  ん？  下着って……パンツのこと？


  「白いブリーフとかさ、幼稚園以来だよ」


  し、白い……ブリーフ……なの？
  ねぇ、翔真くん……白いブリーフ穿いてるの？


  「ね、見せて？」

  ねぇ、ねぇ、お・ね・が・い♡