530 / 688
第29章 日常14:はじめの一歩
3
しおりを挟む
「あのね、智樹? 父ちゃんも私も、そうじゃないかな……って思ってたのよ」
僕と似て口下手な父ちゃんの代わりに、母ちゃんが言う。
当然、二人が気付いてたなんて全然知らなかった僕は、目ん玉が落っこちるくらいの勢いで驚いて……
「思ってた……って、え……、嘘、え、何で?」
「何でも何も……、親だもの、分かるわよねぇ、父ちゃん?」
母ちゃんに肩を揺らされ、父ちゃんが心做しか赤くなったお顔で頷く。
「だからね、あんたは翔真くんをお友達だって紹介したけど、私はピンと来てたって言うか……」
「そう……だったんだ?」
なんだ、だったら最初から「恋人です」って紹介すれば良かったじゃん。
「でもまさかこんな風にご挨拶されるなんて、ねぇ……? 何だか息子を嫁に出す気分だわ」
よ、よ、よ、嫁って……!
そりゃさ、たかだか恋人としてお付き合いするってだけで、三指ついて親に挨拶……ってのも大袈裟だとは思うけどね?
でも嫁って……まだエッチもろくにしてないし、そこまでの関係じゃないから、翔真くんだってきっと困って……
「嫁……、智樹が俺のYOME……、悪くないかも♡ 」
あはは……、なかったみたいだ。
でも翔真くんがニヤケてたのはそこまで。
直ぐに真剣な顔に戻して、また額を床に擦り付けた。
すると、その様子を見ていた父ちゃんが、ぬるくなったコーヒーを一気に飲み干し、カップをテーブルに置いてから、また両腕を組んだ。
「あのな、二人とも……。俺は、男が男に惚れるっつーのがどんなもんかは分かんねぇ。けどな、簡単な事じゃねぇってことはだけは、よーっく分かる」
「父ちゃ……ん?」
「相当な覚悟が必要だってこともな……?」
「うん……」
「おめぇらにその覚悟はあんだよな?」
父ちゃんにそう問われて、僕は思わず翔真くんを振り返った。
僕はずっと自分の性癖と向き合って生きてきたから、それなりに色々覚悟はして来てるけど、果たして翔真くんはどうなんだろう、って……
僕と似て口下手な父ちゃんの代わりに、母ちゃんが言う。
当然、二人が気付いてたなんて全然知らなかった僕は、目ん玉が落っこちるくらいの勢いで驚いて……
「思ってた……って、え……、嘘、え、何で?」
「何でも何も……、親だもの、分かるわよねぇ、父ちゃん?」
母ちゃんに肩を揺らされ、父ちゃんが心做しか赤くなったお顔で頷く。
「だからね、あんたは翔真くんをお友達だって紹介したけど、私はピンと来てたって言うか……」
「そう……だったんだ?」
なんだ、だったら最初から「恋人です」って紹介すれば良かったじゃん。
「でもまさかこんな風にご挨拶されるなんて、ねぇ……? 何だか息子を嫁に出す気分だわ」
よ、よ、よ、嫁って……!
そりゃさ、たかだか恋人としてお付き合いするってだけで、三指ついて親に挨拶……ってのも大袈裟だとは思うけどね?
でも嫁って……まだエッチもろくにしてないし、そこまでの関係じゃないから、翔真くんだってきっと困って……
「嫁……、智樹が俺のYOME……、悪くないかも♡ 」
あはは……、なかったみたいだ。
でも翔真くんがニヤケてたのはそこまで。
直ぐに真剣な顔に戻して、また額を床に擦り付けた。
すると、その様子を見ていた父ちゃんが、ぬるくなったコーヒーを一気に飲み干し、カップをテーブルに置いてから、また両腕を組んだ。
「あのな、二人とも……。俺は、男が男に惚れるっつーのがどんなもんかは分かんねぇ。けどな、簡単な事じゃねぇってことはだけは、よーっく分かる」
「父ちゃ……ん?」
「相当な覚悟が必要だってこともな……?」
「うん……」
「おめぇらにその覚悟はあんだよな?」
父ちゃんにそう問われて、僕は思わず翔真くんを振り返った。
僕はずっと自分の性癖と向き合って生きてきたから、それなりに色々覚悟はして来てるけど、果たして翔真くんはどうなんだろう、って……
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる