H・I・M・E ーactressー

誠奈

文字の大きさ
上 下
515 / 688
第28章  日常13:夢なら醒めないで…

15

しおりを挟む
 僕が、HIMEとしての最後の出演作に、あの作品を選んだことを、今更だけど後悔した。


 だってあの作品さえ選ばなければ……、もし別の作品を選んでいたら、ここまで翔真くんを苦しめることは無かった筈だもん。
 それに僕だって……


 「ごめん……ね」

 涙に濡れた翔真くんの手を握ると、翔真くんは首をブルンブルンと振って、手の甲で涙を拭った。

 「智樹が謝ることじゃないよ。そもそも俺があの現場に行ったのが悪いんだし、仕事なんだ……って、ちゃんと割り切れてなかったし……」


 それは僕だって同じだよ。

 僕があの時、男達に滅茶苦茶にされながらずっと考えてたのは、翔真くんのことだけだったから。
 翔真くんのこと考えてたから、だからどれだけ酷いことされても、僕は耐えられたんだよ?


 「ねぇ、翔真くん? 僕ね、HIMEとしてのお仕事が終わったらって、ずっと決めてたことがあるの。聞いてくれる?」
 「……なに?」


 ふふ、翔真くんたら、泣き過ぎて顔酷いことになっちゃってるよ?
 せっかくのイケメンも、これじゃ台無しだね?


 「あのね、僕ね、いつから……ってのは分かんないけど、翔真くんのことが好き」
 「え……?」
 「気付いたらね、いっつも翔真くんのことばっか考えててね、。離れてる時間だって、夢の中でだって、ずっと翔真くんのことが頭から離れないの。それくらい翔真くんのことが好き」


 好きで好きで、もう翔真くんのこと以外何も考えられないくらい、翔真くんが好き。


 ずっと胸の奥に抑え込んでいた感情が溢れ出して……、気付いたら僕は翔真くんの胸に飛び込んでいた。

 「と、智……樹?」

 キス一つするのだってあんなに動揺してた翔真くんだから、戸惑うのも無理ないよね?

 「ごめんね? 無理なら無理って言ってくれて良いから……」


 この手を振り解いて、今度こそ本当に逃げたって良いから……
 僕は、僕の想いを伝えられただけで、それだけで十分だから…

 事故みたいなキスだったけど、それだけで幸せだから……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

白雪王子と容赦のない七人ショタ!

ミクリ21
BL
男の白雪姫の魔改造した話です。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

永遠の快楽

桜小路勇人/舘石奈々
BL
万引きをしたのが見つかってしまい脅された「僕」がされた事は・・・・・ ※タイトル変更しました※ 全11話毎日22時に続話更新予定です

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

処理中です...