H･I･M･E ーactressー

第27章 日常12：僕、さよなら…、だよ

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　僕が動揺してるって分かったんだろうね。

　「おい、しっかりしろ」

　松下さんが僕のほっぺをムギュッとつまんだ。

　「単細胞のお前のことだから、どうせ最悪なこと考えてんだろうが、まだそうと決まった訳じゃないだろ？」


　それは……そうだけど、こんなこと初めてで、どうして良いか分かんないんだもん。
　それに、昔っからそうなんだけど、僕の悪い予感てけっこう当たるんだ。


　僕は泣きそうになるのをグッと堪えた。

　「泣くなって……」

　……つもりだったんだけど、どうやら泣いてたみたいで……

　僕のほっぺをつまんでいた松下さんの指が、僕の涙を拭ってくれた。

　「とりあえず、病院行くぞ」
　「はい……」

　僕は松下さんに手を引かれ家を出ると、松下さんに手を引かれたまま車に乗り込み、ついでにシートベルトまでかけて貰った。

　松下さんて、最初は顔が人並外れて濃いせいで凄く怖い人かと思ってたけど、実はとっても優しい人なんだね？

　人って見かけによらないってゆーけど、本当にその通りだ。

　「あ、そういえば……、お仕事は？」
　「ん？　ああ、今日はオフだから」

　良かった。
　昨日も夜遅くまでお仕事だったみたいだし、今日もまた……とかだったら、それこそ申し訳ないもん。

　「そんなことより、電話……」


　えっ？


　「他にいるだろ、身内……」
　「あ、ああ、うん、姉ちゃんが……」

　今は家を出てしまっている姉ちゃんだけど、実家からはそんな離れてない所に住んでいるし、母ちゃんとの連絡だってマメにとってる筈……だと思う。

　だから姉ちゃんに聞けば何か分かるかもしれない。

　僕はスマホを手に、姉ちゃんに電話をかけた。

　正直、姉ちゃんに電話をするのは、母ちゃんに電話をする以上に気まずい。

　もう何年も会ってないし、その間連絡だってとってないから、ってのが理由ではあるんだけど、それ以上に気まずさを感じる理由がある。


　それは、姉ちゃんが僕がＨＩＭＥだってことを知ってるからだ。

　ってゆーか、僕がＨＩＭＥになったのには、姉ちゃんの存在が大きく影響してる、って言っても過言ではないから……