H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第27章  日常12:僕、さよなら…、だよ

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 え、何……?


 僕が首を傾げると、松下さんがニヤリと笑った。

 「猫舌なんだろ? フーフーしてやろうか?」


 は?
 ってゆーか、フーフーって……、僕そこまでお子ちゃまじゃないもん。


 「だ、大丈夫……です。自分で出来るもん……」

 それに、お誕生日当日なのに、引っ越しのお手伝いさせて、その上フーフーまでして貰っちゃったら、流石に申し訳ないもん。

 僕は舌を火傷しないよう、しっかりフーフーしてから、漸くラーメンを口にした。

 「あ、おいちぃ……」
 「く、くくく、おいちぃ……って…、くくく……」」

 いつもクールな松下さんが、声を上げて笑う。


 もう……、そんなに笑わなくても良いのに……


 「いやぁ……、久しぶりに笑わせて貰ったよ」

 松下さんは目尻に溜まった水滴を指で拭うと、スープまでしっかり飲み干し、空になった丼をカウンターに上げた。

 「誕生日だし、もう一杯良いかな?」


 え……? 


 「良い……ですけど?」

 相原さんのおかわりは予想してたけど、まさか松下さんが……ってのは、全く予想してなかったから、ちょっとビックリ。


 そんなに大食いのイメージなかったし、それに食事制限がとっちゃらって言ってたし……

 あ、もしかしてラーメンは別腹とか?
 それなら納得かも。
 
 だって僕もスイーツは別腹だし♪


 それに比べて僕と和人と来たら……

 「ふー、お腹いっぱい……」
 「僕も……」

 ラーメン一杯平らげるのが精一杯で。

 「そんなだから二人共ガリガリなんだよ」
 「えー、雅也に言われたくないよ。ねぇ、智樹?」
 「う、うん……」

 一応は和人に合わせて頷いてみせるけど……

 相原さんはただ痩せているってわけてもなく、ちゃんと筋肉だってついてる。

 でも和人は……

 「ぷっ、ぷぷぷ……」

 突然吹き出した僕に、三人の視線が一斉に僕に集中する。

 けど、僕は笑いを止めることが出来なくて……

 だって、僕も細いと言われることは良くあるけど、それなりに筋肉だってあるし、実は力だって相原さん程じゃないけど、ある。


 でも和人のお腹って……


 あ、でもこれ以上はやめとくよ。

 和人、お腹ポヨーンしてるって言うと怒るから……って、あ、言っちゃった。
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