H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第26章  日常11:さよなら…言わなきゃだめ?

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 松下さんが何を言おうとしているのか……

 本当は凄く聞きたいのに、心の片隅では聞きたくない、って思っちゃって……
 そんなことを考えていたら、急におかしくなっちゃったんじゃないか、ってくらいに心臓がドキドキし始める。


 怖かった……んだと思う。
 それと不安も……

 だから凄く身構えていたのにさ……


 「実は俺もあれ以来会ってないし、連絡もとってないんだよね」


 ってさ、あんまりじゃない?

 そりゃさ、聞くの怖かったし、不安だったけど、それ以上に期待の方が大きかったのに、もう… …どうしてくれんのさ……


 なんて、僕が松下さんに言えるわけもなく……

 「そうですか」って答えることしか出来なかった。

 多分、和人も相原さんも僕と同じ気持ちだったと思う。

 二人とも、これ以上ないってくらい、両肩が下がりまくってたから……
 松下さん自身、苦笑いを浮かべるばっかだし。


 終わった、って……、もう翔真くんと僕とを繋ぐ糸は、完全に切れてしまったんだ、って…… 


 僕は半分諦めモードに突入しかけていた。

 だからかな……、目の前がグラグラしちゃって、おまけに頭までクラクラしちゃって……

 「智樹、大丈夫? 顔色、悪いよ?」

 本当はさ、心配かけたりとかしたくなかったんだけど、和人も相原さんも僕の背中を摩ってくれたり、手を握ってくれたりしてさ……

 二人共、本当に優しいんだよ。
 おかげで僕、泣かずに済みそうだよ。

 「あ、でも……」

 僕が二人に甘やかされ、僕もここぞとばかりに二人に甘えていると、松下さんが何かを思い出したように顔を上げた。

 「確かアイツあの時、変なこと言ってたような……」
 「変なこと……って?」
 「いや、今思えば変なことでもないんだけど……」

 一人、自問自答をする松下さん。


 ってゆーか、だから何?


 「あーもぉ、もったいぶってないでさ、さっさと言っちゃいなよ。その方がさ、智樹だってスッキリするかも知んないでしょ? ね、智樹?」

 僕がスッキリするかどうかは別として、焦れったいのは確かで……、そんな僕の気持ちを代弁するように、相原さんが松下さんを急かす。


 ふふ、相原さんて、案外せっかちなんだよね
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