H･I･M･E ーactressー

第24章 ｓｃｅｎｅ５：ツルテカな僕

36

　渋々……、本当に渋々といった様子で、和人がバスタブの中に足を突っ込む。

　僕は目いっぱい身体を縮こませて、和人が浸かれるだけのスペースを開けるけど、やっぱり狭くて……

　「ぼ、僕、先に上がろうか？」

　大体、二人は恋人同士なんだし、僕なんてただの邪魔者だもん。

　だから、と思ったのにさ……

　「何言ってんの？　まだちゃんと中洗ってないでしょ？」

　ちょっとだけ浮かせた腰を、軽々と相原さんの膝に乗せられてしまって…

　「あ、あ、あの……、下ろして下さい……」


　だって流石に和人が見てる前でこんなこと…… 
　まあ……、散々和人の見てる前でセックスしといて言うのもなんだけどね？


　「あ、ほら、場所空いたし、これでゆったり入れるね♪」


　……って、人の話聞いてないし。


　「……ったく、幼稚園児のお泊まり会じゃあるまいし……」

　和人が呆れ口調で言って、ゆっくりと湯船の中に腰を下ろす。

　そして相原さんと向かい合わせになると、両手をスっと伸ばし、「こっちにおいで｣と僕に言った。

　「変態雅也の膝なんか乗ってたら、また何されるかわかんないでしょ？　だからこっちにおいで？」


　へ、変態雅也って……
　確かに間違いじゃないけど……、きっと和人だから言える言葉なんだろうな……


　「でも和人……腰は？」　


　さっきだって僕のこと落っことしちゃうくらい、痛かったんでしょ？
　なのに僕が膝に乗ったらまた……

　「平気だよ」
　「本当に？」
　「うん、本当に。だからこっちおいで？」
　「うん♪」

　僕は相原さんに「ごめんなさい」をしてから、伸ばされた和人の腕の中に飛び込んだ。

　「あ、ねぇ、智樹って長風呂苦手だったよね？」
　「うん……」

　お湯の温度にもよるんだろうけど、おそらく相原さん仕様に設定されたお風呂だと、そう長くは入ってられないと思う。

　「じゃあさ、さっさと中綺麗にしちゃわないとね？」

　言いながら和人の手が僕の後ろに回って、すっかり油断していた蕾の中に、お湯と一緒にツプンと突き入れられた。