H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第21章  日常9:耳を塞げば…

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 朝、早朝(って程でもないけど……)にも関わらずやたら元気な相原さんに叩き起こされた僕達は、寝起きで超不機嫌な松下さんと、腰を摩る和人と一緒に、残り物で朝食を済ませ、相原さんのマンションを後にした。

 あ、 勿論、最寄り駅までは相原さんの車で送って貰ったんだけどね?

 でもさ、その車内で翔真くんたらとんでもない事を言い出して……

 だってさ、だってだよ?

 「和人さんて、実はKAZUだったりしません?」

 なんて言うんだよ?

 相原さんはすっとぼけてたけどさ、僕はもう心臓が止まるかと思ったよ。


 もう……翔真くんてば、声だけでも誰だか判別出来るなんて、どんだけDVD見てんの?





 最寄りの駅で相原さんの車を降りた僕は、そのまま翔真くんと別れたくなくて、ちょっぴり強引気味ではあったけど、翔真くんを駅前のカフェに誘った。

 僕が奢るから、って。

 そう混雑する時間帯でもなかったのもあって、僕達はそれぞれカフェラテとカフェオレを手に、窓際の席に向き合って座った。

 「ねぇ、僕、カフェオレとカフェラテの違いがよく分かんないんだけど……」

 僕が言うと、翔真くんはまだ口を付けていないカフェラテのカップを、何の躊躇いもなく僕に差し出して来た。

 「飲み比べてみたら分かるんじゃない?」
 「そう……なの?」
 「ほれ、飲んでみ?」

 翔真くんがストローの先を持って、僕の口に突っ込む。


 もお……、僕赤ちゃんじゃないんだよ?

 あ、でも……


 「おいちぃ♡」

 僕が頼んだカフェオレに比べて、ちょっぴりミルク多めな気はするけど、苦さの中にほんのり甘さもあって、思ってた以上に美味しい♪

 「な? 美味いだろ?」
 「うん、すっごく! あ、ねぇ、交換しよ?」
 「は? 何いってんの? 嫌だよ……」
 「ね、お願い」
 「ぜーったい、嫌だ」


 チェッ……、翔真くんのケチ……
 だいたい僕の奢りなんだから、交換してくれたって良いじゃんねえ?


 「じゃあ、半分こは?」


 それなら良いでしょ?


「ったく……、じゃあ半分だけな?」

 ふふ、やったぁ♪
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