H･I･M･E ーactressー

第21章 日常９：耳を塞げば…

５

　それまで僕に向けていた視線をスッと逸らし、翔真くんがわざとらしく咳払いをする。
　そして頭の下に組んでいた手をゆっくりと……ほんとーにゆっくりと解くと、そのまま僕の下半身へと伸ばした。


　嘘……でしょ？
　そんなのダメだよ……、絶対ダメ！

　だって……、だって僕……


　「ひゃん……っ……！」


　自分を抑えられる自信なんて……無いもん。
なのに翔真くんの手は僕の息子をキュッと握って来て……


　「カチカチじゃん……」

　なんて言うもんだから、顔が燃えるように熱くなる。

　「ね、ねぇ……、ダメだ……よ……、やめて……？」
　「どうして？　出さないと辛いよ？」


　知ってるよ？
　知ってるけどさ、こんなのやっぱりダメだよ…


　「そ、そうだけ……ど……、そうかもだけど……、こんなの良くない……って……」

　僕は布越しに僕の息子を握る翔真くんの手を引きはがそうと、翔真くんの手首を掴んだ。

　「なんで？　だって普通だろ？」
　「普通……じゃない……よ……」


　全然普通じゃない！

　だって僕達はまだ……ってゆーか、翔真くんの言う普通って何なの？
　僕にはわかんないよ……


　「と、とにかく、僕トイレ行ってくるから……」

　僕は翔真くんの手を無理矢理引き剥がすと、勢いを付けて起き上がった。

　「なあ、俺ら友達だろ？」


　そうだよ、僕達は友達だよ？


　「だったらさ、別に恥ずかしがる必要なくね？」
　「え……？」
　「学生の頃とかさ、良く友達同士で見せ合いっことかしただろ？　それと同じじゃね？」


　何……言ってるの？


　「俺とかさ、ずっと男子校だったから、野郎同士集まって、誰が最初にヌケるか競走したりとかさ、普通にしてたぜ？」


　翔真くんはそうだったかもしんないよ？
　でも僕はそうじゃないから……

　「だからさ、遠慮とかいらないから、こっち向いてみ？」
　「で、でもっ……」
　「遊びの延長だと思えば良いからさ、な？」


　遊び…なんだ？
　そっか……、そうだよね？

　翔真くんにとってはそうかもね？

　でも僕は違うから……