H･I･M･E ーactressー

第21章 日常９：耳を塞げば…

３

　起こした筈の身体が、ゆっくりとベッドに引き戻される。

　「こっち向いて？」
　「え、でも……」
　「いいから。こっち向いてくんないと、ちゃんと耳塞げないでしょ？」


　あ、そっか……


　僕は両手でお股を隠したままで、身体ごと翔真くんの方を向くと、静かに瞼を閉じた。


　別にさ、キスされるわけじゃないから、目なんて閉じる必要もないんだけど、なんとなくそうしなきゃいけない気がして……

　だってさ、僕の下半身……さっきより凄いことになってるからね？

　なのに翔真くんの顔を超至近距離で見ちゃったらさ、（自慢じゃないけど）僕速攻でイケる自信あるもん。

　……って、そんなこと自慢（しちゃったけど……）してもしょうがないんだけどさ……


　翔真くんの指が、僕の髪をサラッと掬いながら僕の耳に触れる。


　うぅ……、擽ったいんだけどさ、敏感になってる僕にとっては、ほんのちょっと触れられただけでも刺激になってしまって……


　「へぇ～、智樹耳弱いんだ？」
　「そ、そんなこと……、ないもん……」
　「うっそだ～、絶対弱いって」

　翔真くんは笑うけどさ、僕はそれどころじゃない！


　だってさ、借り物なのにさ、（多分）和人のなのにさ、パンティ……濡れちゃってる……


　なのにそんなことも知らない翔真くんはクスクス笑いながら、僕の耳に息を吹きかけたり、ついには耳を塞ごうとしていた手を下へと滑らせて、僕の脇腹をムギュって摘まんだリするから、そりゃもう僕は大パニックで……

　「やだやだ、そこはマジでやめて……」

　逃げ場なんてどこにもないのに、コチョコチョと僕の脇腹を擽る翔真くんの手から逃れようと、僕は必死で身を捩った。

　元気になった息子くんを隠すことも忘れて……ね。

　おかげで、抵抗しようろ伸ばした手を捕まれ、グイッと引っ張られた拍子に、元気になった息子くんが翔真くんの太腿に触れてしまって……

　「え……、智樹……、もしかして……？」

　僕の息子くんが元気になってることが、翔真くんに知られてしまった。


　もうさ、ビンチだよ、過去最大級のビンチ！