H･I･M･E ーactressー

第20章 日常８：パーティー……とは？

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　リビングに戻った僕達は、まるで何事もなかったようにそれぞれの席に着き、タイミング良く相原さんが出してくれた缶ビールを傾けた。

　「大田くん、この人俺の従兄弟で、松下潤一って言うんだけど……、知ってる？」

　桜木くんが、ラグに直接腰を下ろし、全身からスタイリッシュな雰囲気を醸し出す松下さんを指で差した。

　「えと……」

　知ってるよ？
　和人や相原さんみたく仲良し……って訳じゃないけど、会話だってしたことあるし、なんならセックスだって……

　でもそれはあくまでＨＩＭＥのことであって、僕……智樹のことじゃない。

　「前に、撮影現場に連れてってくれるとか言ってた、あの？」

　僕は出来る限り平静を装い、桜木くんに向かって首を傾げてみせた。

　「うん、そうそう。潤一兄はさ、なんつーかその……相原さんと同じ職種の人でさ、潤一兄のおかげで俺、生のＨＩＭＥちゃんとも会うことが出来たんだぜ？」

　凄くない？って、いつの間にか僕の肩に回った桜木くんの腕が、僕を乱暴に揺する。

　「へ、へえ……、そう……なんだ？」

　僕はチラッと松下さんに視線を向けると、ペコリと頭を下げ、それに気付いた松下さんも同じようにペコリとする。

　ってゆーか、現場でも思ったことなんだけど……、お家の中なのにサングラスも帽子も外さないなんて、松下さんて普段もクールなんだね？

　「あ、ねぇ、桜木くんもシャワー浴びて来たら？　ね、着替え用意して上げてよ」
　「そうだね、そうしなよ」

　和人に言われて相原さんが席を立つ。

　でも当の桜木くんはまだ飲み足りないのか、手に持ったグラスを離そうとはしない。


　もぉ、仕方ないなぁ……


　僕は桜木くんの手からグラスを取り上げると、グラスの半分程残っていたワインを一気に飲み干した。

　「え、大田……くん？」
　「早くシャワーしてきなよ。桜木くん、ちょっと汗臭いよ？」
　「え、マジで？」

　慌てて腕やら脇やらをクンクン始める桜木くん。


　嘘だけどね？
　僕にとっては、汗だけじゃなく、たとえオナラ（するよ……ね？　人間だもんね？）の匂いだって爽やかなミントの香りにも感じるんだもん♡