H･I･M･E ーactressー

第20章 日常８：パーティー……とは？

４

　「も、勿論行くよ！」

　だって和人だよ？
　もし僕がいないとなったら、何を言い出すか分かんないもん。

　「で、いつなの、そのパーティーとやらは……」

　僕は桜木くんから受け取ったタイムカードをカードレコーダーに差し込むと、印字が終わるのを待って引き抜いた。

　「いつって……、今日だけど？」
　「は、はあ？」

　え、ちょっと待って？

　今日とか……いくらなんでもいきなり過ぎじゃない？

　僕、たった今その話聞いたばっかなんだよ？
　なのに今日って……

　「え、僕、何も用意してないよ？」

　お誕生日パーティーってことはさ、一応プレゼントくらいは用意しないとじゃん？
　いくら先に渡してるって言ったって、流石に手ぶらでは行けないよ。

　「ああ、それなら心配いらないよ、俺が用意しといたから」

　そう……なの？

　「ま、男の人に花束とかって、喜んで貰えるか分かんないけどね？」


　へえ……、和人に花束ね……
　プライベートの和人は、ゲームにしか興味がない、超テキトー男なんだけど、その和人に花束か……

　あ、でも相原さんがいるから、無駄に枯らしちゃう心配はないのかな。


　「あ、でもバイト終わってからだと、けっこう時間遅くなっちゃわない？」

　僕達のバイトが終わるのが九時で、それから速攻和人のマンションに向かったとしても……

　「着くの十時過ぎになっちゃうよ？」

　その頃には、もうパーティー終わっちゃってるんじゃない？

　「ああ、それなら心配なぃみたいだよ？　招待されてんの、俺らだけみたいだし」

　あ、そうなんだ？
　じゃあ安心か……って、え？

　「僕達だけ？　他には？」
　「いや、他には何も聞いてないけど。ま、行きゃ分かんじゃないの？」

　そりゃそうだけど……
　公私共に友達だから、和人のお誕生日はお祝いしたいけど、何だか僕、すっごく気が重いよ……

　「さ、仕事仕事♪　店長が呼びに来る前に行こうぜ？」
　「う、うん……、そうだね……」

　僕はガックリと肩を落とすと、一瞬は消えたと思った筋肉痛の痛みが、再びぶり返したような気がした。