H･I･M･E ーactressー

第19章 ｓｃｅｎｅ４：宴会場からのお部屋でインタビュー

２

　なーんてさ、調子に乗るもんじゃないよね？


　僕は坂口監督をはじめ、スタッフさん達から注がれるがままにビールを飲み続け……
　そしたら当然のように睡魔も襲って来るわけで……


　でもさ、朝早かったしさ、朝から何回もイカされてクタクタだったんだもん、しょうがないじゃん？


　結果、元々お酒は強い方の僕だけど、不覚にも眠ってしまい……

　「ん……、熱……ぃ……」

　下腹部にカーッとした熱さを感じて目を覚ました僕は、自分が置かれてる状況も知らずに、浴衣の襟を開き、ついでに裾も捲り上げた。

　だってさ、寝起きだったし、ビールも沢山飲んじゃったしで、多分頭がいつも以上にボーッとしてたのに加えて、身体が燃えるように熱かったんだもん。

　だからかな……

　「そんなに暑かったら、全部脱いじゃえば？」

　耳元で囁かれる言葉にも、ついつい素直に頷いてしまった僕は、お腹周りを締め付ける帯に手をかけるんだけど……ちょっと待って？


　おかしくない？
　いくら寝不足だったからって、沢山ビールを飲んだからって、こんなに身体が言うことをきかなくなることって、ある？

　それにこの燃えるような身体の熱さだよ？
　あ、もしかして……

　まさかそんな筈はないとは思うけど、ってゆーかないと信じたいけど、ビールに変なお薬混ぜられた……とか？

　だって絶対普通じゃないもん。


　「あ、あの……、ＨＩＭＥ……、ちょっと飲み過ぎちゃったみたいだから、先にお部屋に……」


　そうだよ、きっといつもより沢山ビール飲みすぎちゃったからだよね？
　だって僕、自分がＨＩＭＥだって自覚もちゃんとあるもん。


　僕は浴衣の襟と裾をサッと直して、立ち上がろうとするけど……

　あ……れ……？
　目の前がグルグル回って、足元がグランと揺れて……

　「おっと、危ない……」

　突然伸びて来た手に支えられ、どうにかこうにか持ち上げた腰も、再び畳の上へと引き戻されてしまった。

　ううん、それだけならまだ良いよ？

　畳の上に引き戻された僕は、そのまま肩をポンと押され……

　「え、え、な、何……？」

　ひっくり返った僕の両手両足が、スタッフさん達の手によって畳に押さえ付けられてしまった。


　ねぇ、これってもしかして……、ヤバい状況？