H･I･M･E ーactressー

第17章 ｓｃｅｎｅ４：温泉宿

７

　もっと……
　もうちょっと奥まで……って、心の中で強く願うけど、僕の思いとは裏腹に宅ちゃんの手は僕の太腿から離れて行き……

　なんで？って聞きたいところだけど、やめた。

　理由なんて聞かなくたって分かってるもん。
　だって、宅ちゃんは女の子が好きで、男の子には全く興味ないって言ってたから。

　だったら、どうしてこんな仕事してんのかって話なんだけど、だからこそ宅ちゃんにこれ以上のことは期待しちゃいけないって思うんだ。

　赤い下着って、凄くセクシーだよね？」
　「そう……ですか？」

　確かに色は派手だし、宅ちゃんの言う通りかもだけど、今日の下着はウエスト部分や、お尻のレースになった部分に、沢山の小さなお花が飾られれれて、セクシーってゆーよりかは、寧ろ可愛い方だと思うんだけどな……

　ま、普通・・の男の子の持つ感覚と、僕みたいにちょっぴり変わった子の持つそれとでは、案外違ったりするから、仕方ないことなんだけどね？

　「あ、ねぇ、女の子ってさ、セットアップって言ったら良いのかな……、ブラとパンティと同系の物にしたりするでしょ？｣
　「う～ん、確かにそうかも」

　特に勝負かける時には、気合いの入った下着を選びがちだしね？

　「じゃあさ、ＨＩＭＥちゃんの今日の下着もそうだったりする？」
　「え？　ま、まあ……」
　「ふーん。それってさ、見せてくれたりって出来る？」
　「え、ここで……ですか？」

　一応窓にはスモークも貼ってあるし、外からは見えないけど、でも……

　「ＨＩＭＥ……恥ずかしいよ……」

　僕はざっくり開いたワンピースの襟元を、キュッと手で引き寄せた。
　でもそれが逆効果だったみたいで……

　胸元はしっかり隠したけど、代わりにノースリーブの袖口からは、真っ赤なブラ紐がツルンと滑り……

　「あっ……」

　僕は慌てブラ紐の位置を直そうとするけど……

　「そのまま…」

　宅ちゃんの手がそれを止めた。

　「で、でも……」
　「いいから、そのままで」

　そう……なの？

　別にさ、エッチぃ目で見られてるわけでもないし、なんならすっご～く優しく笑ってるだけなんだけど、なんだろう……宅ちゃんには僕、逆らえないみたい。