H･I･M･E ーactressー

第14章 日常５：素顔の僕とお姉ちゃん？

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　自己嫌悪に苛まれながらリビングに戻ると、いつの間にかエプロン姿になっていた相原さんが、僕を見てクスッと笑った。

　僕がトイレで何をしてたか知ってるから……なんだろうけど、笑わなくたってよくない？
　だいたい、こんなことになったのだって、相原さんとＫＡＺＵのせいなのに、酷いよ。


　「くくく、そんな顔しないの。せっかくの可愛い顔が台無しだよ？」

　プウッと膨れた僕の顔を見たＫＡＺＵが、相原さんと同じくクスクス笑って肩を揺らす。

　「僕、可愛いくなんかないし……」

　ちょっとくらいはは可愛いかもだけど、それだって一般的に見てのことだし……

　「くくく、ＨＩＭＥちゃんはそのままでも十分可愛いと思うよ？　ね、雅也もそう思うでしょ？」

　僕をソファへと促しながら、ＫＡＺＵがキッチンに立つ相原さんを振り返る。
　キッチンの方からは、相原さんが細いわりに筋肉質な腕でフライパンを振っていて、すっごく良い匂いが漂って来る。
　おかげでソファに腰を下ろした途端に、ギュルルルルル……って、僕のお腹が凄い音で鳴った。

　「もしかして……、お腹空いてるの？」

　ＫＡＺＵの手が僕のお腹に触れる。

　「えと……、あの……、その……」

　咄嗟に誤魔化そうとするけど、半径一キロ圏内まで届きそうな程大きな音は、どうやったって誤魔化しようがない。

　「だってランチって言ってたから、だから僕……」

　僕は素直に朝ご飯を抜いたせいでお腹が空いていることを白状した。
　するとＫＡＺＵは突然お腹を抱えて笑い出し……

　「ごめんごめん。 実はね、私あんまり外食って好きじゃなくて……」
　「そ、そうなの？」

　なんだ……、それならそれで、最初からそう言ってくれれば良いのに……

　「あ、もしかして楽しみにしてたとか？」
　「う、ううん……。僕も普段からあんまり外食はしない方だから……｣


　本音を言えば、すっごく楽しみにしてたけどね？

　だってＫＡＺＵが指定したレストラン、ランチタイム限定スイーツ食べ放題あったし、実はちょっと気になってたお店なんだよね……

　だからちょっと残念ではあるけど、仕方ないよね？