H･I･M･E ーactressー

第14章 日常５：素顔の僕とお姉ちゃん？

８

　目の前にいるのがＫＡＺＵだと分かったら、急にホッとしちゃって……

　「大……丈夫？」ってＫＡＺＵに聞かれても、気の抜けた返事をすることも出来ず、ひたすら頷きながら一生懸命立ち上がろうとするけど、強打した腰は中々言うことを聞いてくれない。

　そんな僕に見かねたんだろうね。

　「手、貸そうか？」

　相原さんが言ってくれるけど、それだけじゃとても無理っぽくて……

　「抱っこ……」

　僕は相原さんに向かって両手を伸ばした。


　ＫＡＺＵの恋人だって、ちゃんと分かってるよ？
　分かってるけどさ、仕方ないじゃん？


　僕は、ＨＩＭＥみたく……は無理だけど、甘えるように相原さんを見上げた。
　すると、相原さんが僕の目線の高さまで膝を折って、それから頭を撫でてくれて……

　「やれやれ、手のかかるお姫様だね」

　そして僕の両手を自分の肩に回した。

　「ちゃんと捕まっててね？」
　「……はい」

　僕が頷くと、相原さんはやっぱり「よいしょ」と掛け声をかけて、僕をヒョイと抱き上げた。

　
　なんだろう……、ＨＩＭＥの時なら何とも思わないけど智樹の状態でお姫様抱っこって、、ちょっと恥ずかしい♡


　「とりあえずソファで良い？　それともベッドの方が良い？」

　え、え、べ、べッドって……、それはまずくない？
　だって二人が、あんなことやこんなことしてる場所でしょ？

　それはさすがに……ねぇ？

　「あ、あ、あの……っ、ソファで大丈夫……です」
　「そ、そう？　別に遠慮しなくても良いんだよ？」
　「うん。だってＨＩＭＥちゃんだもん。全然平気だよ？」

　そ、そう……なの？

　「それに随分強く腰打ったみたいだし、湿布貼った方が良いでしょ？　仕事にも差し支えるだろうし……」

　確かにＫＡＺＵの言う通りかもしんない。

　元々松下さんのせいで（言い方！）腰痛かったのに、思いっきり尻もちついちゃったし……
　このままだと、お仕事に支障出ちゃうかも。


　はあ……、仕方ないか……


　「んと……、湿布貼るだけ……ですよね？」


　はっ！
　僕、どさくさに紛れてなんてことを……

　まるで別のこと・・・・を期待してるみたいじゃんか！

　ああ、もお……、恥ずかしいよ……