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第11章 scene3:病院
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夢を見てるんだって……
きっと、ずーっと櫻井くんのことばっか考えてたから、とうとう幻覚まで見るようになってしまったんだって……
必死でそう思おうとした。
だってそうでもしなきゃ、この状況が受け止めきれそうにないんだもん。
だって、まさか桜木くんの従兄弟が松下さんだったなんて、想像もしてなかったんだもん。
僕、どうすれば良いの?
後ろ手に隠した手が震えて、クッキーがボロボロと砕けて床にポロポロと零れる。
それくらい、すっごく、すっごーく動揺してた。
なのに桜木くんと来たら……
「なるべく撮影の邪魔はしないようにするので、今日は宜しくお願いします」
なんてさ、今まで見たこともないような満面の笑みを僕に向けるもんだから、僕はただただ引き攣った笑いを浮かべるしかなくて……
「あの、サイン……貰っても良いですか?」って、僕のDVDを差し出された時には、もうそのままひっくり返ってしまうんじゃないかと思うくらいの、強い目眩を感じた。
それでも何とかDVDを受け取ると、一緒に渡されたサインペンをDVDのパッケージに走らせた。
ただ、手の震えがペン先にも伝わるのか、線がちょっぴり乱れちゃったけど、仕方ないよね?
「はい、これで良い……かしら?」
内心、すっごくドキドキしてたけど、僕は務めてHIMEらしく振舞った。
すると桜木くんはDVDを受け取るなり、DVDを風呂敷で丁寧に包み、ショルダーバッグの中にそっと仕舞った。
その仕草が、なんとも桜木くんらしくて、僕は思わず笑いそうになったけど、吹き出す寸前で堪えた。
それにしても今時風呂敷とか、桜木くんてば案外ジジくさいのね?
「あ、もう一個だけお願いが……」
それに欲張りなのね?
「な、なぁ……に?」
「握手……、して貰えませんか?」
「あ、握手……ですか?」
どうしよう……、握手なんてしたら、僕が智樹だって気付かれてしまわない?
そりゃさ、手なんか繋いだこともなければ、握ったこともないんだけどさ……
きっと、ずーっと櫻井くんのことばっか考えてたから、とうとう幻覚まで見るようになってしまったんだって……
必死でそう思おうとした。
だってそうでもしなきゃ、この状況が受け止めきれそうにないんだもん。
だって、まさか桜木くんの従兄弟が松下さんだったなんて、想像もしてなかったんだもん。
僕、どうすれば良いの?
後ろ手に隠した手が震えて、クッキーがボロボロと砕けて床にポロポロと零れる。
それくらい、すっごく、すっごーく動揺してた。
なのに桜木くんと来たら……
「なるべく撮影の邪魔はしないようにするので、今日は宜しくお願いします」
なんてさ、今まで見たこともないような満面の笑みを僕に向けるもんだから、僕はただただ引き攣った笑いを浮かべるしかなくて……
「あの、サイン……貰っても良いですか?」って、僕のDVDを差し出された時には、もうそのままひっくり返ってしまうんじゃないかと思うくらいの、強い目眩を感じた。
それでも何とかDVDを受け取ると、一緒に渡されたサインペンをDVDのパッケージに走らせた。
ただ、手の震えがペン先にも伝わるのか、線がちょっぴり乱れちゃったけど、仕方ないよね?
「はい、これで良い……かしら?」
内心、すっごくドキドキしてたけど、僕は務めてHIMEらしく振舞った。
すると桜木くんはDVDを受け取るなり、DVDを風呂敷で丁寧に包み、ショルダーバッグの中にそっと仕舞った。
その仕草が、なんとも桜木くんらしくて、僕は思わず笑いそうになったけど、吹き出す寸前で堪えた。
それにしても今時風呂敷とか、桜木くんてば案外ジジくさいのね?
「あ、もう一個だけお願いが……」
それに欲張りなのね?
「な、なぁ……に?」
「握手……、して貰えませんか?」
「あ、握手……ですか?」
どうしよう……、握手なんてしたら、僕が智樹だって気付かれてしまわない?
そりゃさ、手なんか繋いだこともなければ、握ったこともないんだけどさ……
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