H･I･M･E ーactressー

第11章 ｓｃｅｎｅ３：病院

２

　「これかな♪」

　僕は選んだ衣装を手に取り、シートに座ったまま身体に宛てがってみた。

　「悪くはないが、お前にしては地味じゃねぇか？　もっとケバいのあっただろ」


　ケ、ケバイって……


　「うーん、そうなんだけどさ、逆にシンプルな方が良くない？」

　身体にもフィットしそうだし、丈はかなり短いけど、デザインがシンプルなだけに、ＨＩＭＥの魅力をふんだんに活かしてくれそうなんだよね。

　「それに、白い方が天使っぽくない？」


　ホントなら僕、背中に羽でも着けておきたい気分だよ。


　「その気持ちは俺には分からんが、お前がそれで良いならそうすれば良いなんじゃねぇか？」
　「うん。じゃあ、コレにする♪ 」


　あ、でも白だと下着透けちゃうかも。
　なんたって今日僕が選んだのは、濃いバイオレットのブラとパンティのセットアップなんだもん。

　で、でもね、色は確かにちょっぴりセクシーだけど、デザインは超可愛いんだよ？

　大事な部分を隠すお股には、ブルーの薔薇が刺繍してあって、お尻は……レースの紐しかないけど、僕コレ見た瞬間一目惚れしちゃったんだよね♪

　でも中々着ける機会もなくて、だから思い切って今日着けてみたんだけど……そっか、お尻は紐しかないから、透けちゃう心配はしなくても平気だよね？

　良かったぁ♪


　って喜んだのも束の間……

　「あと、コレも預かってるんだが……」
　「なに？」

　僕は長井さんが差し出して来た袋を受け取ると、中をそっと覗き込んだ。

　「撮影入る前に挿れとけとさ……」
　「え、ええっ……、マジ……で……？」
　「ああ。何でも今日の相手役のリクエストなんだそうだ」


　嘘……でしょ？

　だってコレ……、すっごく大きいよ？
　しかも長いし……

　ってゆーか、これ僕が自分で挿れなきゃ……なんだよね？