H･I･M･E ーactressー

第９章 日常３：彼の部屋

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　いや、知ってたよ？
　何枚目かのＤＶＤ購入特典で、確か抽選で十名様にしか当たんない、レア中のレアグッズの中に、等身大抱き枕があることは、僕だって知ってたよ？
　でも僕自身実際に目にしたことはないし、現実に存在するのかさえ疑ってたのに、そのうちの一つがまさかこんな身近に、しかも桜木くんの部屋にあるなんて……
　もうこれ以上の驚きってないじゃん？

　なのに桜木くんときたら、ＨＩＭＥの抱き枕をヒョイとひっくり返すと、ＨＩＭＥご自慢のプリンとしたお尻を、丁度アソコに当たるようにしてお股に挟むもんだから、僕は耳まで赤くなるのを感じずにはいられなくて……

　「こうしてるとさ、本当にＨＩＭＥちゃん抱いてるみたいでさ、すげー幸せ感じんだよね」

　幸せそうに抱き枕に頬ずりする桜木くんを前に、ただでさえ驚きのあまり引き攣った顔を、更に引き攣らせることしか出来なくて……

　「へ、へぇ……、そ、そうなんだ……」

　仕方無く適当に受け流した。

　だって抱き枕とは言え、毎晩桜木くんにそうやって抱かれてるなんてさ、やっぱ照れ臭いし、恥ずかしいもん。
　勿論、桜木くんが抱いてるのは、僕じゃなくてＨＩＭＥ・・・・なんだけどさ、ＨＩＭＥ・・・・は僕なんだし、なんだかＨＩＭＥを通して、僕自身が桜木くんに抱かれてるような、妙な感覚に陥りそうになる。

　僕は頭をブルンと一振りして気を取り直すと、すっかり忘れられた存在になっていたコンビニ袋いっぱいの、桜木くんへのお見舞いの品々を差し出した。

　「何が良いか分かんなかったから、適当に買って来ちゃったけど、良かったら……」
　「え、マジで？　いや～、何か悪いなぁ……」


　ホントだよ……
　大笑いできるくらい元気なら、もう少し控えめに買えば良かった。

　でもまあ……、熱があるのは事実だし？

　「お、プリンあんじゃん！　やったね」

　喜んでくれてるみたいだし、まいっか♪