H･I･M･E ーactressー

第８章 ｓｃｅｎｅ２：ハートのバスタブ

４

　ＫＡＺＵの中の男が本気で……ってことは、さっきまでのＫＡＺＵは何だったの？
　見た目は……確かに女の子だけど、僕からすれば十分過ぎるくらい男だったのに……

　ってことはさ、ＫＡＺＵが本気を出したら、もっと凄いってこと……なの？
　それはそれで僕……、嬉しいんだけど♪


　「さ、綺麗になったし、お風呂に入りましょ？」
　「うん……」

シャワーヘッドを元に戻し、ＫＡＺＵが僕の手を引く。

　その時、コホンと誰かの咳払いが聞こえて……

　「二人共、ちょっとそこで振り向いてくれる？」

　続けて聞こえてきたカメラマンさんの声に、僕達は同時に首だけで後ろを振り返った。

　瞬間、カシャカシャッと何度かシャッターを切る音と、目が眩むようなフラッシュが僕達に浴びせかけられた。

　「いいよ、二人共凄く可愛いよ！」

　無心でシャッターを切るカメラマンさんの横で、メガホンを口元に構えた国立監督が目をハートにして、うんうんと頷く。
　でもその時僕は気付いてしまったんだ……。見事全開になった社会の窓・・・・から、監督の元気印がひょっこりお顔を出していることに……
　ＫＡＺＵも当然そのことに気付かないわけもなく……

　「見て見て？　監督ったら、私達のお尻を見て興奮してるわよ」
　「ふふ、監督さんたら、お尻フェチなのかな？」
　「くく、きっとそうよ」

　僕達は顔を見合わせ小さく「うん」と頷くと、「せーの……」の掛け声で監督さんに向かって投げキッスをしてから、お尻をプリンと振った。

　すると、「ぬおっ！」とおかしな声を上げた監督さんのお鼻から、赤い液体がツーと流れて、ピンク色のタイルにポタッと落ちた。
　そして全開になった社会の窓・・・・からは、ひょっこりどころじゃなく元気印がぴょこんと元気に飛び出した。


　ふふ、監督さんたら、僕達のお尻に興奮するなんて、とってもマニアックなのね♪