H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第6章  scene2:ファッションホテル

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 KAZUの手が僕の顎にかかり、クイッと上向かされる。

 触れた場所からKAZUの体温が伝わって来るみたいな気がして、顔が……ううん、顔だけじゃない、身体まで微かな火照りを感じてしまう。

 しかも、しっかりKAZUに見抜かれちゃったみたいで……

 「もう……、HIMEちゃんたら、今からそんなんじゃ本番もたないわよ?」


 もぉ……、恥ずかしくって穴があったら入れて貰いたい……じゃなくて、入りたい!


「うん、これで良し、と。 完璧♪ 見て?」

 KAZUに促されて、僕は鏡を覗き込んだ。

 「うわぁ……」

 僕は鏡に映る自分の顔に、驚きの声を上げた。

 「ちょっとだけチークいじっちゃったけど……、どうかしら、気に入ってくれた?」
 「はい、とっても♪」

 不思議だね。
 チークの色と、グロスをいつもよりもたっぷり乗せただけなのに、随分と印象が違って見えるんだもん。

 「あ、そーだ♪ これ、HIMEちゃんに似合うかな、って思って……」
 「なんですかぁ?」

 僕が首を傾げると、KAZUが僕の金髪クルクルツインテールをサラッと掻き上げ、僕の耳たぶが何かにパチンと挟まれた。

 「あっ、もしかしてイヤリン……グ?」
 「そ♪ 見て? 私のとお揃いなのよ?」

 そう言ってKAZUが黒髪サラサラロングヘアを掻き上げる。

 「あっ……」
 「どう? 可愛いでしょ?」
 「はい、とっても♡」

 僕は耳に下がった淡いブルーのリボンを指で揺らした。


 (あ、因みにKAZUの耳に下がってるのは、衣装と同じ色をしたクリームイエローのリボンね♪)


 「何だか私達、双子みたいね?」
 「ふふ、ホントですね」

 髪の色は……かなり違うけど、それを除けば身長だってそんなに違わないし、同じ服を着たら双子に見えなくもないかも。

 「あのぉ、今日は宜しくお願いしますね、お姉……ちゃん♡」

 僕が少し甘えたように見上げると、KAZUは一瞬驚いたように目を見開いたけど、すぐに綺麗な顔に優しい微笑みを浮かべた。

 「まあ……、なんて可愛い妹なのかしら。今日はたっぷり可愛がって上げるわ♪」

 KAZUが僕の耳元に囁く。

 「覚悟しててね♡」ってウインクを送りながら……
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