H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第2章  scene1:教室

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 教室の隅っこで、お互い裸同然の格好でスマホ片手に連絡先の交換をする。

 撮影の終わった教室では、監督さんをはじめとするスタッフさん達(……って言っても片手で足りる人数だけど)が、忙しく後片付けをしている。
 当然だけど、こういった撮影の場合、スタッフの人数もそう多くはないから、キャストも設営や後片付けを手伝ったりすることもたまじゃなくて、長井さんもその立派な体格を買われて、力仕事の殆どを任されている。

 「あの、僕シャワー浴びに行きたいんですけど、一人じゃ怖くて……」


 この場合仕方ないよね?


 「俺で良かったら付き合うよ?」
 「ほんとですか? じゃあ、お願いしても良いですか?」
 「勿論」


 良かった、これで迷子にならずに済む。
 怖いって言ったのは、相原さんに着いて来て貰うための口実で、アレが出ないことは既に確認済みだから、本当は全然怖くないんだけどね?

 ただ、慣れない場所で迷子になるのだけは、ちょっと……ね。

 あ、でもこれ絶対秘密だからね!


 僕はマットレスを運ぶ長井さんに耳打ちして、シャワーに向かうことを告げると、相原さんに手を引かれて階下へと向かった。手にはお気に入りのフワモコバスタオルと、新しい下着を抱えて。

 でもさ、シャワー室を目の前にして僕気付いたんだよね、相原さんの腰がやけに引けてることに。

 「あの……、もしかして怖いの苦手なんですか?」

 まさかそんなことはないと思いながら聞いてみると、相原さんは突然頭をポリポリ掻き始めて、顔には苦笑を浮かべた。

 「実はさ、あんまり得意じゃないんだよね。ほら、特にここって廃校だしさ、ちょっと……ね」


 嘘……でしょ?
 こんなに爽やかで格好良くて、超ロングサイズのナニ・・まで持ってるのに、お化けが怖いとか……案外可愛いとこあるんだ?


 「ふふ、じゃあ、一緒に入ります?」

 こんな薄暗くて、空気もヒンヤリとした場所に、お化けが怖いっていう相原さんを一人待たせるのは、流石に申し訳ない。

 「えっ、いい……の?」
 「勿論です♪」

 二人で入るにはちょっと狭いかもだけど、相原さん細いし、それにどうせシャワーって言ったって、下半身を洗うだけなら、多少狭くても大丈夫……だと思ったんだけどな……
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