H･I･M･E ーactressー

第２章 ｓｃｅｎｅ１：教室

６

　「や～、相変わらずＨＩＭＥは良い顔するね～」

　監督さんがモニターをチェックしながら、僕の方をチラッと見てはニヤニヤと笑う。
　今日の監督さんとは以前にも仕事をしたことがあるから、僕がどんな時にどんな顔をするのか良く知っている。


　で、僕はと言えば……


　カットがかかった瞬間に机の上にうつ伏せにされ、左右それぞれの手に、机の脚から繋がった手錠が嵌められ……。殆ど身動きが出来ない状態で「スタート」の声がかかるのを待っている。
　下着なんて足首まで落ちちゃってるから、凄く下半身がスースーする。
　なのに僕のアソコは元気な状態をキープしてて、それに気付いた相原さんが僕の足元に跪き、僕のスカートを腰の辺りまで捲り上げた。

　「凄いね、ＨＩＭＥちゃん。こんな格好にされて、もしかして興奮してるの？」
　「ち、違う……もんっ……」

　否定しようと思うのに、相原さんが僕のお尻の割れ目を指でツーッとなぞったりするから、ついつい腰が跳ねて、机がガタンと揺れてしまう。

　「感度良いんだね。なんだか俺まで興奮しちゃうよ」

　相原さんが僕の正面に回り、そっと僕の頭を撫でてくれるけど、僕の視線は丁度目の前にある、布越しにも分かる程盛り上がった相原さんの股間に釘付けで……。思わず僕の喉がゴクリと鳴ってしまう。
　おかげで、スタートの声がかかるまでは我慢しなくちゃいけないのに、僕の胸は期待に膨らむばかり。

　僕はこれ以上はないってくらいに、熱を込めた目で相原さんを見上げた。でも相原さんは不意に僕から視線を逸らすと、長井さんから受け取った籠の中を物色し始めた。
　籠の中には、色も形も違う僕専用の……所謂《大人の玩具》が入っている。

　「へえー、ＨＩＭＥちゃんこんなの用意してるんだね？」
　「え、だって……」

　殆どの現場では当然のように用意されているんだけど、それって大抵が使用済みの物ばかりで、いくら消毒してあるって言われても、やっぱり身体の中に挿れる物だから、他人が使った物ってなると、どうしても抵抗を感じちゃうんだ。
　だから僕は毎回、撮影現場には自前の《玩具》を持って来ることにしている。


　ほら、自分の物なら、他人が使ったわけじゃないから、抵抗はないじゃない？