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「お、起きたな。飯、どうする? 食うか?」
キッチンと和室とを隔てるガラス戸を開けた俺に、和人が振り返ることもなく言う。
「うん、腹減った……」
素直に答えると、和人は肩を揺らして小さく笑う。
「だと思った。お前さ、凄かったんだぜ? イビキと腹の虫が交互に鳴ってさ、煩くて寝てらんなかったよ」
「そ、そんなの……、俺知らねぇし……」
大体、寝てる間のことまで責任持てねぇし……
「味噌汁、いるか? インスタントだけど」
「あ、ああ、うん、あるなら」
「分かった、用意しとくからさ、その前に風呂入っちゃいな? 今日もバイトだろ?」
「そうする…」
俺は和人の背後を通り過ぎると、そのまままっすぐ風呂場へと向かった。
何の仕切りもない場所でセーターを脱ぎ、小さな浴槽があるだけの狭い風呂場で、ボディソープだけで頭から足の先まで全身を洗う。
本当は髪が軋むのが嫌だから、せめて髪専用のシャンプーを使いたいところだけど、マメな反面面倒臭がりの和人だからそれも仕方ない。
今度来る時には自分で用意してこよう……って、今度がいつになるかは分からないけど……
何せ俺達が会う時は、大抵俺の部屋のことが多いから……
俺には熱いくらいの湯に浸かり、 ほんの少しだけ記憶を遡ってみる。
俺の聞き間違いじゃなければ、和人が電話で話していた内容、あれは確かに俺のことだ。
和人は一体誰と電話を?
それに他にも気になることがある。
どうして和人はあんな時間に買い物に?
和人の性格上、一度家に入ったら滅多なことでは外には出ないし、仮に買い物があれば仕事帰りに済ませて来る筈だ。
なのにどうしてわざわざあんな時間に、それもビールだけを買いに外へ?
ビールなら、まだダンボールの中に何本か残っているし、そう言えば和人がぶら下げていた袋……
ハッキリと見たわけではないけど、この辺じゃあまり見かけないロゴがプリントされていたような……
「ああ……、もう、訳わかんねぇ……」
俺は両手に掬った湯を顔に浴びせかけると、逆上せ始めた頭をブルンと一振してから風呂から上がった。
ハンガーに引っ掛けてあったバスタオルを腰に巻き部屋に戻ると、和人が俺に向かって下着を差し出して来る。
俺はそれを受け取ると、ついいつもの癖で鼻先に近付けた。
洗濯済みの物かどうか、確認するためだ。
「お前さぁ、その癖いい加減やめろよな? 大体、洗濯もしてないモン人に貸すか?」
「ごめん、つい……」
和人にやんわり咎められ、俺は苦笑交じりで和人の貸してくれた下着を身に着けた。
キッチンと和室とを隔てるガラス戸を開けた俺に、和人が振り返ることもなく言う。
「うん、腹減った……」
素直に答えると、和人は肩を揺らして小さく笑う。
「だと思った。お前さ、凄かったんだぜ? イビキと腹の虫が交互に鳴ってさ、煩くて寝てらんなかったよ」
「そ、そんなの……、俺知らねぇし……」
大体、寝てる間のことまで責任持てねぇし……
「味噌汁、いるか? インスタントだけど」
「あ、ああ、うん、あるなら」
「分かった、用意しとくからさ、その前に風呂入っちゃいな? 今日もバイトだろ?」
「そうする…」
俺は和人の背後を通り過ぎると、そのまままっすぐ風呂場へと向かった。
何の仕切りもない場所でセーターを脱ぎ、小さな浴槽があるだけの狭い風呂場で、ボディソープだけで頭から足の先まで全身を洗う。
本当は髪が軋むのが嫌だから、せめて髪専用のシャンプーを使いたいところだけど、マメな反面面倒臭がりの和人だからそれも仕方ない。
今度来る時には自分で用意してこよう……って、今度がいつになるかは分からないけど……
何せ俺達が会う時は、大抵俺の部屋のことが多いから……
俺には熱いくらいの湯に浸かり、 ほんの少しだけ記憶を遡ってみる。
俺の聞き間違いじゃなければ、和人が電話で話していた内容、あれは確かに俺のことだ。
和人は一体誰と電話を?
それに他にも気になることがある。
どうして和人はあんな時間に買い物に?
和人の性格上、一度家に入ったら滅多なことでは外には出ないし、仮に買い物があれば仕事帰りに済ませて来る筈だ。
なのにどうしてわざわざあんな時間に、それもビールだけを買いに外へ?
ビールなら、まだダンボールの中に何本か残っているし、そう言えば和人がぶら下げていた袋……
ハッキリと見たわけではないけど、この辺じゃあまり見かけないロゴがプリントされていたような……
「ああ……、もう、訳わかんねぇ……」
俺は両手に掬った湯を顔に浴びせかけると、逆上せ始めた頭をブルンと一振してから風呂から上がった。
ハンガーに引っ掛けてあったバスタオルを腰に巻き部屋に戻ると、和人が俺に向かって下着を差し出して来る。
俺はそれを受け取ると、ついいつもの癖で鼻先に近付けた。
洗濯済みの物かどうか、確認するためだ。
「お前さぁ、その癖いい加減やめろよな? 大体、洗濯もしてないモン人に貸すか?」
「ごめん、つい……」
和人にやんわり咎められ、俺は苦笑交じりで和人の貸してくれた下着を身に着けた。
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