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頭が真っ白に弾けて……
少なくともその時だけは、自分の置かれている状況も、自分がその状況に怯えていることも、全部……
その瞬間だけは、綺麗に忘れていた。
「もう寝ろ…」
和人がそっと俺の髪を撫でる。
いつもなら、セックスが終わると同時に、「帰る」って言うくせに……
俺はそんな和人を、恋人のくせに冷たい奴だと思っていた。
だからたまに恋人らしいことをされると、どうしたら良いのか分からなくなる。
尤も、ここは和人の部屋なんだから、帰らなきゃいけないのは、この俺の方なんだけど……
でも、例えそれがフリだけだとしても、今はその優しさに甘えていたい。
「うん……」
俺は小さく頷くと、静かに瞼を閉じた。
雅也とシフトを交代したせいで、いつもより朝も早かったから、俺はすぐに深い眠りに落ちて行った。
勿論、和人が俺の頭をずっと撫でていてくれたから……、ってのもあるんだろうけど。
だから、かな……俺が眠りに落ちる間際に和人が言った、
「今は……今だけは、ゆっくりお休み、智樹……」
その言葉の意味すらも、深く考えることはなかった。
もしこの時に気付いていたら……、もしかしたら何かが変わっていたんだろうか……
誰かの話し声が聞こえて、俺はゆっくり瞼を持ち上げた。
話し声と言っても、和人と俺以外には誰もいないんだから、当然その声は和人の他にはないんだけど……
俺は瞼を薄く開いて、和人の姿を探した。
六畳一間に、トイレと風呂、それから小さなキッチンがあるだけの狭い部屋だ、探すまでもなく俺は視界に和人の姿を捉えた。
電……話?
こんな時間に誰と?
窓の外は漸く白み始めたばかりで、それだけでも今がまだ夜も開けきらない早朝だと言うことが分かる。
それに和人が持ってる電話……
俺が知ってるのは、今では誰もが手にしているスマホで……
でも今和人の手に握られているのは、二つ折の……所謂〝ガラケー〟ってやつだ。
あんなの和人持ってたっけ?
俺は疑問に感じながらも、和人の話す声に聞き耳を立てた。
「仕方ないだろ? 〝抱いてくれ〟なんて言われたらさ、そうするしかないっしょ……」
もしかして、俺……のこと、話してる?
でも誰と?
俺との関係を知ってるのは、俺が知る限り……ではあるけど、和人の回りにはいない筈。
なのに誰と俺の話を?
しかも、〝仕方ない〟って……
それって、俺が〝抱いてくれ〟って強請ったから、仕方無しに俺を抱いた、ってことなの……か?
少なくともその時だけは、自分の置かれている状況も、自分がその状況に怯えていることも、全部……
その瞬間だけは、綺麗に忘れていた。
「もう寝ろ…」
和人がそっと俺の髪を撫でる。
いつもなら、セックスが終わると同時に、「帰る」って言うくせに……
俺はそんな和人を、恋人のくせに冷たい奴だと思っていた。
だからたまに恋人らしいことをされると、どうしたら良いのか分からなくなる。
尤も、ここは和人の部屋なんだから、帰らなきゃいけないのは、この俺の方なんだけど……
でも、例えそれがフリだけだとしても、今はその優しさに甘えていたい。
「うん……」
俺は小さく頷くと、静かに瞼を閉じた。
雅也とシフトを交代したせいで、いつもより朝も早かったから、俺はすぐに深い眠りに落ちて行った。
勿論、和人が俺の頭をずっと撫でていてくれたから……、ってのもあるんだろうけど。
だから、かな……俺が眠りに落ちる間際に和人が言った、
「今は……今だけは、ゆっくりお休み、智樹……」
その言葉の意味すらも、深く考えることはなかった。
もしこの時に気付いていたら……、もしかしたら何かが変わっていたんだろうか……
誰かの話し声が聞こえて、俺はゆっくり瞼を持ち上げた。
話し声と言っても、和人と俺以外には誰もいないんだから、当然その声は和人の他にはないんだけど……
俺は瞼を薄く開いて、和人の姿を探した。
六畳一間に、トイレと風呂、それから小さなキッチンがあるだけの狭い部屋だ、探すまでもなく俺は視界に和人の姿を捉えた。
電……話?
こんな時間に誰と?
窓の外は漸く白み始めたばかりで、それだけでも今がまだ夜も開けきらない早朝だと言うことが分かる。
それに和人が持ってる電話……
俺が知ってるのは、今では誰もが手にしているスマホで……
でも今和人の手に握られているのは、二つ折の……所謂〝ガラケー〟ってやつだ。
あんなの和人持ってたっけ?
俺は疑問に感じながらも、和人の話す声に聞き耳を立てた。
「仕方ないだろ? 〝抱いてくれ〟なんて言われたらさ、そうするしかないっしょ……」
もしかして、俺……のこと、話してる?
でも誰と?
俺との関係を知ってるのは、俺が知る限り……ではあるけど、和人の回りにはいない筈。
なのに誰と俺の話を?
しかも、〝仕方ない〟って……
それって、俺が〝抱いてくれ〟って強請ったから、仕方無しに俺を抱いた、ってことなの……か?
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