130 / 227
第11章 信愛…
1
しおりを挟む
それは一瞬の出来事だった。
爆音と共に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた僕は、駆け付けた潤一と、命からがら逃げ延びた使用人達の手によって病院へと運ばれた。
病院へと運び込まれた僕は、余程強い衝撃を受けたせいか、数日間眠り続けた後、目覚めた時には全ての記憶と、そして恐らくは爆風を受けた時に吹き飛ばされたんだろう、右腕を失くしていた。
それでも命が助かったことは、奇跡とも言えるだろうと、僕を担当した医師は言った。
僕自身ははっきりとは記憶していないが、その時の智子の取り乱し様は大変なもので、宥めるのに随分と手を焼いたと、後になってから潤一に聞かされた。
智子は僕が病院にいる間、身体が自由にならない僕の世話を、それは献身的にしてくれた。
その甲斐あってか、僕は徐々に記憶を取り戻し、全ての記憶が戻った時、漸く家に帰ることを許された。
と言っても、僕達が幼い頃から慣れ親しんだ屋敷はあの火事で跡形も無く焼け落ち、僕と智子は一先ず下宿に身を寄せることにした。
潤一は、身体が不自由になった僕と、身重の智子が二人きりで生活することを心配してか、自分の実家に身を寄せるよう申し出てくれたが、僕達はそれを断った。
何も持たない僕達が、二人だけの力でどこまで出来るのか試してみたかった。
潤一は反対したが、僕達の意思の強さに根負けしたのか、心から納得しないまでも、最後には首を縦に振った。
但し、智子がお産を迎える前まで、という条件付きで……
爆音と共に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた僕は、駆け付けた潤一と、命からがら逃げ延びた使用人達の手によって病院へと運ばれた。
病院へと運び込まれた僕は、余程強い衝撃を受けたせいか、数日間眠り続けた後、目覚めた時には全ての記憶と、そして恐らくは爆風を受けた時に吹き飛ばされたんだろう、右腕を失くしていた。
それでも命が助かったことは、奇跡とも言えるだろうと、僕を担当した医師は言った。
僕自身ははっきりとは記憶していないが、その時の智子の取り乱し様は大変なもので、宥めるのに随分と手を焼いたと、後になってから潤一に聞かされた。
智子は僕が病院にいる間、身体が自由にならない僕の世話を、それは献身的にしてくれた。
その甲斐あってか、僕は徐々に記憶を取り戻し、全ての記憶が戻った時、漸く家に帰ることを許された。
と言っても、僕達が幼い頃から慣れ親しんだ屋敷はあの火事で跡形も無く焼け落ち、僕と智子は一先ず下宿に身を寄せることにした。
潤一は、身体が不自由になった僕と、身重の智子が二人きりで生活することを心配してか、自分の実家に身を寄せるよう申し出てくれたが、僕達はそれを断った。
何も持たない僕達が、二人だけの力でどこまで出来るのか試してみたかった。
潤一は反対したが、僕達の意思の強さに根負けしたのか、心から納得しないまでも、最後には首を縦に振った。
但し、智子がお産を迎える前まで、という条件付きで……
0
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる