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第1章 義妹…
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「こちらに来なさい」
母様には一瞥もくれることなく、少女に向かって父様が手招きをする。そして、それに応えるように、少女も草履履きの足をゆっくりと動かし始めた。
帯に付けた飾り鈴だろうか……、女の子が歩を進める度に、薪の爆ぜる音だけがある部屋の中で、シャンシャンと鳴り響いた。
「父様、この子は……?」
「智子だ。今日からお前の妹になる。頼んだぞ、翔真」
「え……?」
妹……?
僕の……、妹……?
父様が何を言っているのか分からなくて、僕が父様と智子と呼ばれたの少女を交互に視線を巡らせていると、父様は軽々しく少女を抱き上げ、膝の上で今にも泣き出してしまいそうな儚げな表情を浮かべる少女に、それそれは優しく微笑みかけた。
「智子、お前の兄さんだ。うんと可愛がって貰うんだぞ?」
少女に語りかける声色もそうだけど、父様のそんな顔……、初めてかもしれない。
答えに困った僕は、縋る思いで母様を見た。でも母様は……
「気分が悪いので先に休ませて頂きます」
感情の無い顔で長椅子から立ち上がると、網掛けの防寒着を、毛糸玉が入った籠ごと暖炉の中に投げ入れた。
「あっ……」
別に楽しみにしていたわけではないが、僕には不釣り合いな小さな桜色の防寒着が、燃え盛る炎の中で瞬く間に燃え尽きてしまうのを見るのは、何だかとても悲しい気持ちになり、暖炉の前できつく握った手を震わせる母様を振り返り見た。
すると、そこにはまるで般若の面のような、恐ろしい顔をした母様が立っていて……
「母……様?」
恐る恐る声をかけると、一瞬表情を引き締めてから、いつものような穏やかな笑顔を浮かべた。
「翔真、あなたも早くお休みなさい。 明日も学校でしょ?」
「は……い……」
僕の見間違い……、だったんだろうか……
母様には一瞥もくれることなく、少女に向かって父様が手招きをする。そして、それに応えるように、少女も草履履きの足をゆっくりと動かし始めた。
帯に付けた飾り鈴だろうか……、女の子が歩を進める度に、薪の爆ぜる音だけがある部屋の中で、シャンシャンと鳴り響いた。
「父様、この子は……?」
「智子だ。今日からお前の妹になる。頼んだぞ、翔真」
「え……?」
妹……?
僕の……、妹……?
父様が何を言っているのか分からなくて、僕が父様と智子と呼ばれたの少女を交互に視線を巡らせていると、父様は軽々しく少女を抱き上げ、膝の上で今にも泣き出してしまいそうな儚げな表情を浮かべる少女に、それそれは優しく微笑みかけた。
「智子、お前の兄さんだ。うんと可愛がって貰うんだぞ?」
少女に語りかける声色もそうだけど、父様のそんな顔……、初めてかもしれない。
答えに困った僕は、縋る思いで母様を見た。でも母様は……
「気分が悪いので先に休ませて頂きます」
感情の無い顔で長椅子から立ち上がると、網掛けの防寒着を、毛糸玉が入った籠ごと暖炉の中に投げ入れた。
「あっ……」
別に楽しみにしていたわけではないが、僕には不釣り合いな小さな桜色の防寒着が、燃え盛る炎の中で瞬く間に燃え尽きてしまうのを見るのは、何だかとても悲しい気持ちになり、暖炉の前できつく握った手を震わせる母様を振り返り見た。
すると、そこにはまるで般若の面のような、恐ろしい顔をした母様が立っていて……
「母……様?」
恐る恐る声をかけると、一瞬表情を引き締めてから、いつものような穏やかな笑顔を浮かべた。
「翔真、あなたも早くお休みなさい。 明日も学校でしょ?」
「は……い……」
僕の見間違い……、だったんだろうか……
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