353 / 369
第27章 All for you
9
しおりを挟む
俺の気持ちを察したのか、柊真はそれきり何も言いはしなかった。
けどその代わりになのか、俺とはもう一緒に踊らない、ダンスも辞める、と言い出して……
俺も、そんな柊真の子供じみた我儘には付き合いきれないとばかりに、柊真と一緒に踊ることをピタリと辞めた……と言うよりは、ダンスそのものから遠ざかろうとした。
でも遠ざけようとすればする程、ダンスへの欲求は深まるばかりで……
テレビから流れる、たった数秒の音楽にでさえ、身体が疼くのを感じた。
結局、俺はダンスからはどうやったって逃れられないんた。
そう気付いた時、施設内の倉庫の片隅で、無音の中、ひたすら汗を飛ばして踊る柊真の姿を見かけた。
なんだ、アイツも結局俺と一緒じゃねぇか……
ダンスを捨てきれないのは、何も俺だけじゃないってことを知った。
俺は施設長を通じて、佐藤に連絡を取って貰うことにした。
ダルクでは、外部の人間と直接連絡を取ることは禁じられているから……
俺は佐藤に、自分がまだダンスへの情熱を捨てきれないこと、そして許されるのであれば、もう一度ステージに立ちたいと思っていることを打ち明けた。
佐藤は大して驚いた素振りも見せず、電話口ではなんだからと、施設長に俺の外泊の許可を申し出た。
でも、いくら佐藤からの申し出とは言え、そんなに簡単に許可が下りるわけもなく……
数日後、佐藤は佐藤の養子となった和人を連れて、ダルクを訪れた。
和人は俺の顔を見るなり、大粒の涙をボロボロと流し、何も言わずに俺を強く抱き締めた。
それからはずっと俺の手を握ったままで、「逃げたりしねぇから」と俺がどれだけ言っても、その手を離してくれようとはしなかった。
俺には、もうどこにも行く所なんてないのに……
佐藤はそんな和人を、特に咎める様子もなく俺の肩を叩くと、「元気そうだな」たった一言、そう言って、自分のスマホを俺に差し出した。
「なに?」
首を傾げる俺に、佐藤は表情ひとつ変えることもなく……
「オープンは半年後。それまでに間に合うか?」
俺に問いかけた。
当然、佐藤が何を言っているのか分からない俺は、改めて佐藤が差し出して来たスマホに視線を落とした。
けどその代わりになのか、俺とはもう一緒に踊らない、ダンスも辞める、と言い出して……
俺も、そんな柊真の子供じみた我儘には付き合いきれないとばかりに、柊真と一緒に踊ることをピタリと辞めた……と言うよりは、ダンスそのものから遠ざかろうとした。
でも遠ざけようとすればする程、ダンスへの欲求は深まるばかりで……
テレビから流れる、たった数秒の音楽にでさえ、身体が疼くのを感じた。
結局、俺はダンスからはどうやったって逃れられないんた。
そう気付いた時、施設内の倉庫の片隅で、無音の中、ひたすら汗を飛ばして踊る柊真の姿を見かけた。
なんだ、アイツも結局俺と一緒じゃねぇか……
ダンスを捨てきれないのは、何も俺だけじゃないってことを知った。
俺は施設長を通じて、佐藤に連絡を取って貰うことにした。
ダルクでは、外部の人間と直接連絡を取ることは禁じられているから……
俺は佐藤に、自分がまだダンスへの情熱を捨てきれないこと、そして許されるのであれば、もう一度ステージに立ちたいと思っていることを打ち明けた。
佐藤は大して驚いた素振りも見せず、電話口ではなんだからと、施設長に俺の外泊の許可を申し出た。
でも、いくら佐藤からの申し出とは言え、そんなに簡単に許可が下りるわけもなく……
数日後、佐藤は佐藤の養子となった和人を連れて、ダルクを訪れた。
和人は俺の顔を見るなり、大粒の涙をボロボロと流し、何も言わずに俺を強く抱き締めた。
それからはずっと俺の手を握ったままで、「逃げたりしねぇから」と俺がどれだけ言っても、その手を離してくれようとはしなかった。
俺には、もうどこにも行く所なんてないのに……
佐藤はそんな和人を、特に咎める様子もなく俺の肩を叩くと、「元気そうだな」たった一言、そう言って、自分のスマホを俺に差し出した。
「なに?」
首を傾げる俺に、佐藤は表情ひとつ変えることもなく……
「オープンは半年後。それまでに間に合うか?」
俺に問いかけた。
当然、佐藤が何を言っているのか分からない俺は、改めて佐藤が差し出して来たスマホに視線を落とした。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
年上の恋人は優しい上司
木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。
仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。
基本は受け視点(一人称)です。
一日一花BL企画 参加作品も含まれています。
表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!!
完結済みにいたしました。
6月13日、同人誌を発売しました。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる