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第27章 All for you
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意図せず溢れ出した涙が頬を伝い、板張りのステージにポツリポツリ落ちては、消えていくのを見ながら、俺の脳裏に過去の記憶が走馬灯のように駆け巡った。
あの日のことは、俺自身ハッキリ覚えているわけじゃない。
自分がどうしてあの場にいたのか。
翔真がどうやって俺を上本の元から連れ出したのか。
雅也に事の経緯はそれとなく聞いてはみたものの、それすら今となっては記憶は朧気で……
第一、俺がどうして上本みたいな男に縋ったのか、その理由だって、今じゃ定かじゃない。
二度と関わりたくないと思っていた筈なのに……
ただ、佐藤の家を飛び出した後、潤一が留置されている拘置所に面会に行ったことだけは、アクリル板越しに、二人して何を語るでもなく、ただただ涙を流し続けたあの時間だけは、鮮明に覚えている。
多分その直後だ、雑誌か何かでたまたま上本の姿を目にしたのは。
俺の中に明確な殺意が芽生えたのも、その時だ。
それまでだって人に誇れるような生き方をしてきたわけじゃないけど、そんな俺にだって唯一胸を張って言えることがあった。
それは、翔真に愛され、翔真を愛したこと。
その翔真を上本は苦しめて、そして深く傷付けた。
勿論、そうなったきっかけは俺自身にあることは分かってる。
俺があの時、潤一を拒めるだけの勇気を持てていたなら、もしかしたら翔真を泣かせることは、なかったのかもしれない。
でもそれだってほんのきっかけに過ぎない。
俺は上本によってドラッグの味を覚えさせられた。
一度は佐藤達の助けもあって抜け出せたと思ったけど、それでも身体は忘れちゃいなかった。
殺意に目を血走らせる俺の前に、再び上本はドラッグをチラつかせた。
勿論、頭では分かってた。
次にドラッグに手を染めたら、二度と元には戻れないことも、そして二度と翔真には会えないってことも……
なのに俺はその誘惑に打ち勝つことが出来ずに、再びドラッグに手を染めた。
それも今度は以前使っていた物よりも、もっと依存性が強い物だったせいか、強烈な開放感と、同時に得られる高揚感に、俺はすぐにドラッグに溺れた。
上本への殺意なんて、どあっという間にこかへ消え去っていた。
あれ程……、殺してやりたいと思う程、憎んでいた筈なのに……
あの日のことは、俺自身ハッキリ覚えているわけじゃない。
自分がどうしてあの場にいたのか。
翔真がどうやって俺を上本の元から連れ出したのか。
雅也に事の経緯はそれとなく聞いてはみたものの、それすら今となっては記憶は朧気で……
第一、俺がどうして上本みたいな男に縋ったのか、その理由だって、今じゃ定かじゃない。
二度と関わりたくないと思っていた筈なのに……
ただ、佐藤の家を飛び出した後、潤一が留置されている拘置所に面会に行ったことだけは、アクリル板越しに、二人して何を語るでもなく、ただただ涙を流し続けたあの時間だけは、鮮明に覚えている。
多分その直後だ、雑誌か何かでたまたま上本の姿を目にしたのは。
俺の中に明確な殺意が芽生えたのも、その時だ。
それまでだって人に誇れるような生き方をしてきたわけじゃないけど、そんな俺にだって唯一胸を張って言えることがあった。
それは、翔真に愛され、翔真を愛したこと。
その翔真を上本は苦しめて、そして深く傷付けた。
勿論、そうなったきっかけは俺自身にあることは分かってる。
俺があの時、潤一を拒めるだけの勇気を持てていたなら、もしかしたら翔真を泣かせることは、なかったのかもしれない。
でもそれだってほんのきっかけに過ぎない。
俺は上本によってドラッグの味を覚えさせられた。
一度は佐藤達の助けもあって抜け出せたと思ったけど、それでも身体は忘れちゃいなかった。
殺意に目を血走らせる俺の前に、再び上本はドラッグをチラつかせた。
勿論、頭では分かってた。
次にドラッグに手を染めたら、二度と元には戻れないことも、そして二度と翔真には会えないってことも……
なのに俺はその誘惑に打ち勝つことが出来ずに、再びドラッグに手を染めた。
それも今度は以前使っていた物よりも、もっと依存性が強い物だったせいか、強烈な開放感と、同時に得られる高揚感に、俺はすぐにドラッグに溺れた。
上本への殺意なんて、どあっという間にこかへ消え去っていた。
あれ程……、殺してやりたいと思う程、憎んでいた筈なのに……
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