S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

文字の大きさ
上 下
316 / 369
第25章   End of Sorrow

14

しおりを挟む
 俺のプランはこうだ。

 劇場の箱自体は残し、ストリップ劇場としての看板は外す。

 その後、本格的なレビューや演劇が行える劇場として再スタートをさせる。

 大掛かりな改修工事を済ませたばかりの劇場だ。
 そのままにしておくのも、ましてや取り壊しなんてことは、端から考えちゃいない。

 どうにか劇場をそのまま活かせるような方向でプランを練って来た。

 当然、そのための手回しもある程度は済ませてある。

 勿論、現存するダンサー達の処遇についても同様に、だ。


 ただ一人、どうしても了解を得なければいけない相手……


 それが現状劇場副支配人でもある相原雅也だ。

「で、だな、お前に一つ頼みたいことがあるんだ」
「なになに? 俺に出来ること?」

 “チワワ”を床に下ろし、雅也がテーブルに身を乗り出すから、俺も同じようにテーブルに身を乗り出した。

 ともすれば息が触れ合う距離に、一瞬目の前の雅也に智樹の顔が重なり、ドクンと胸が強く脈打った。

「雅也、お前に新しくなった劇場の支配人を頼みたい」
「な~んだ、そんなこと……って、ええっ?」

 今度こそ正真正銘目を丸くした雅也は、勢い良く椅子から立ち上がると、

「無理無理、俺なんか絶対無理だって。それに翔真はどうすんのさ……」

 壊れたロボットみたく、首を何度も横に振った。

「俺か? 俺のことは心配すんな。劇場経営から完全に手を引くわけじゃない」

 雅也に運営を任せた後も、劇場には関わっていくことに変わりはない。

 ただ関わり方を変えるだけのことだ。

 あの場所は、俺にとっても、そして智樹にとっても特別な場所だ。

 その場所から完全に離れる、なんてことは俺には出来ない。

「なあ、受けてくんねぇか? つか、お前にしか頼めないんだ。頼む、雅也」

 俺は両手の平をテーブルに着き、額が擦り付くくらいに頭を下げた。

「分かった。翔真がそこまで言うなら、受けてもいいよ。たださ……」
「ただ、なんだ?」
「俺一人じゃ不安……って言うかさ、自信ないって言うかさ……」

 副支配人と支配人とでは、立場も違えば、背負う重圧の差だって歴然だ。

 全ての責任が支配人の肩にかかってくるのだから、雅也の感じる不安はもっともだと思う。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

生意気な少年は男の遊び道具にされる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...