278 / 369
第23章 Moving on
1
しおりを挟む
その知らせは本当に突然で……
そう、まるで、
「翔真、翔真、翔真っ!」
新聞片手に、嵐のように支配人室に飛び込んで来たコイツのように突然だった。
「うっせーなぁ。つか、ノックしろっていつも言ってんだろうが……」
ソファーで眠ってしまったせいか、軋む身体を起こし、寝癖のついた頭をガシガシと掻く。
智樹がいなくなってから数ヶ月、殆ど数えるくらいしか自宅マンションには帰っていないせいか、今ではすっかりヤニ臭い支配人室が俺の住居と化している。
にも関わらず、遠慮の欠片もなく飛び込んで来た雅也は、テーブルの上に山積みになった空き缶と灰皿を掻き分け、そこに新聞を開いた。
「コレ見てよ」
「だから、なんだよ……」
「いいから、見てってば。大変なんだから」
大抵、雅也の言う《大変》は、俺にとっては《大したことない》ことの方が常で……、だからこの時も当然のようにそう思い込んでいた。
ところが、だ。
大欠伸を噛み殺し、何気になしに紙面に視線を向けた瞬間、俺は我が目を疑った。
「……っだよ、これ……」
そこには、松下が経営していたショーパブが、違法な売春斡旋を理由に逮捕されたこと、そして更に驚いたことに、松下の店に関わった客の数人が、違法薬物所持の疑いで逮捕されたことが、決して大きくはないが見出しに記されていて……
咄嗟に新聞を掴んだ手が震えた。
「ね、ビックリでしょ?」
「いや、ビックリどころか……」
俺は新聞の細かな文字を目で追った。
「嘘だろ……」
売春斡旋をしていることは、殿様探偵の調査報告書にも記載されていたことだし、そこに智樹が関わっていたことも確認済みだ。
だから、松下が売春斡旋法違反で逮捕されたしても、それはそれで頷ける話でもある。
でもまさか薬物が絡んでいたとは……
「お、おい、まさかこの件に智樹は……」
そんな筈はない、大丈夫、俺の思い過ごしだ。
そう思いたいのに、どうしてだろう、この胸に押し寄せては引いていく不安の波が、どうしても拭いきれない。
「それは分かんないけどさ、この上杉って人、殿様探偵が寄越した報告書にも名前があった人だよね?」
だからか、この名前に見覚えがあったのは……
「雅也、殿様探偵に連絡とれるか?」
俺は新聞をクシャリと丸めると、テレビのリモコンを手に取った。
そう、まるで、
「翔真、翔真、翔真っ!」
新聞片手に、嵐のように支配人室に飛び込んで来たコイツのように突然だった。
「うっせーなぁ。つか、ノックしろっていつも言ってんだろうが……」
ソファーで眠ってしまったせいか、軋む身体を起こし、寝癖のついた頭をガシガシと掻く。
智樹がいなくなってから数ヶ月、殆ど数えるくらいしか自宅マンションには帰っていないせいか、今ではすっかりヤニ臭い支配人室が俺の住居と化している。
にも関わらず、遠慮の欠片もなく飛び込んで来た雅也は、テーブルの上に山積みになった空き缶と灰皿を掻き分け、そこに新聞を開いた。
「コレ見てよ」
「だから、なんだよ……」
「いいから、見てってば。大変なんだから」
大抵、雅也の言う《大変》は、俺にとっては《大したことない》ことの方が常で……、だからこの時も当然のようにそう思い込んでいた。
ところが、だ。
大欠伸を噛み殺し、何気になしに紙面に視線を向けた瞬間、俺は我が目を疑った。
「……っだよ、これ……」
そこには、松下が経営していたショーパブが、違法な売春斡旋を理由に逮捕されたこと、そして更に驚いたことに、松下の店に関わった客の数人が、違法薬物所持の疑いで逮捕されたことが、決して大きくはないが見出しに記されていて……
咄嗟に新聞を掴んだ手が震えた。
「ね、ビックリでしょ?」
「いや、ビックリどころか……」
俺は新聞の細かな文字を目で追った。
「嘘だろ……」
売春斡旋をしていることは、殿様探偵の調査報告書にも記載されていたことだし、そこに智樹が関わっていたことも確認済みだ。
だから、松下が売春斡旋法違反で逮捕されたしても、それはそれで頷ける話でもある。
でもまさか薬物が絡んでいたとは……
「お、おい、まさかこの件に智樹は……」
そんな筈はない、大丈夫、俺の思い過ごしだ。
そう思いたいのに、どうしてだろう、この胸に押し寄せては引いていく不安の波が、どうしても拭いきれない。
「それは分かんないけどさ、この上杉って人、殿様探偵が寄越した報告書にも名前があった人だよね?」
だからか、この名前に見覚えがあったのは……
「雅也、殿様探偵に連絡とれるか?」
俺は新聞をクシャリと丸めると、テレビのリモコンを手に取った。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説






寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる