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第22章 Not Believe
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嗚咽はやがて慟哭に変わり……
何度もしゃくり上げ、今にも崩れそうな智樹の身体を強く抱き締めた。
また振り払われるかもしれないと思ったら、ほんの少しだけ怖かったけど、それでも構わない。
今度こそ、絶対この手を離したりしない!
「もう……、何もかも嫌になったんだ」
「智……樹?」
それは本当に小さな声で……、思わず聞き返した俺は、智樹の口元に耳を寄せた。
「逃げたかった、全てから……。だから、上杉から……」
上杉……、やっぱりあの噂は本当だったんだ。
俺は絶望に似た感情で、呼吸をするごとに激しく上下する背中を摩り続けた。
「止めようって、何度も思った。でも、でも……っ」
一瞬、ヒュッと息を詰まらせたような感覚を手のひらに感じた。
「智樹? ねぇ、智樹……?」
聞こえている筈の耳に呼びかけるけど、反応はない。
「大丈夫、気を失ってるだけだ、心配はない」
俺の腕の中でどんどん力をなくし、グッタリとして行く智樹を、佐藤が軽々抱き上げベッドへと運んで行く。
突然腕の中から奪われた体温と重みに、俺はどうしていいのか分からず、空になった自分の両手をただ見つめていた。
寝室のドアがパタンと閉まり、心做しか疲れたようにも見える佐藤が、ついさっきまで智樹が座っていたダイニングチェアに腰を下ろした。
「お茶、いれますね」
「済まないが、そうしてくれるかい」
俺はグラスを二つと、自分用のマグを並べると、そこにペットボトルのお茶を注いだ。
「すいません、こんな物しかなくて」
「いや、構わないよ」
佐藤は俺が置いたグラスを手に取ると、一息に半分程を飲み干し、フッと息を吐き出した。
「分かっただろ、智樹がどうしてこんなことになったのか。何故、違法だと知りながら薬物に手を出したのか……」
佐藤の、極限まで感情抑えた声には、どこかオーナーに対する怒りのような物が見え隠れしていて……
「俺には……」
関係ない……とでも言いたかったんだろうか、オーナーはその先の言葉を飲み込んだ。
「オーナーは気付いてましたか? 智樹の耳が聞こえなくなってたことを」
佐藤ですら気付いてたんだ、オーナーが気付いていない筈はない。
俺は僅かな期待を込めてオーナーを真っ直ぐに見つめた。
何度もしゃくり上げ、今にも崩れそうな智樹の身体を強く抱き締めた。
また振り払われるかもしれないと思ったら、ほんの少しだけ怖かったけど、それでも構わない。
今度こそ、絶対この手を離したりしない!
「もう……、何もかも嫌になったんだ」
「智……樹?」
それは本当に小さな声で……、思わず聞き返した俺は、智樹の口元に耳を寄せた。
「逃げたかった、全てから……。だから、上杉から……」
上杉……、やっぱりあの噂は本当だったんだ。
俺は絶望に似た感情で、呼吸をするごとに激しく上下する背中を摩り続けた。
「止めようって、何度も思った。でも、でも……っ」
一瞬、ヒュッと息を詰まらせたような感覚を手のひらに感じた。
「智樹? ねぇ、智樹……?」
聞こえている筈の耳に呼びかけるけど、反応はない。
「大丈夫、気を失ってるだけだ、心配はない」
俺の腕の中でどんどん力をなくし、グッタリとして行く智樹を、佐藤が軽々抱き上げベッドへと運んで行く。
突然腕の中から奪われた体温と重みに、俺はどうしていいのか分からず、空になった自分の両手をただ見つめていた。
寝室のドアがパタンと閉まり、心做しか疲れたようにも見える佐藤が、ついさっきまで智樹が座っていたダイニングチェアに腰を下ろした。
「お茶、いれますね」
「済まないが、そうしてくれるかい」
俺はグラスを二つと、自分用のマグを並べると、そこにペットボトルのお茶を注いだ。
「すいません、こんな物しかなくて」
「いや、構わないよ」
佐藤は俺が置いたグラスを手に取ると、一息に半分程を飲み干し、フッと息を吐き出した。
「分かっただろ、智樹がどうしてこんなことになったのか。何故、違法だと知りながら薬物に手を出したのか……」
佐藤の、極限まで感情抑えた声には、どこかオーナーに対する怒りのような物が見え隠れしていて……
「俺には……」
関係ない……とでも言いたかったんだろうか、オーナーはその先の言葉を飲み込んだ。
「オーナーは気付いてましたか? 智樹の耳が聞こえなくなってたことを」
佐藤ですら気付いてたんだ、オーナーが気付いていない筈はない。
俺は僅かな期待を込めてオーナーを真っ直ぐに見つめた。
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