S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

文字の大きさ
上 下
266 / 369
第22章   Not Believe

しおりを挟む
 柳からの電話を受けた佐藤に、俺はさっきの客に聞いた噂を話して聞かせた。

 すると、思った通り……というか、佐藤は俺が話を終えるよりも前に「分かった」と、「智樹のことは俺が何とかする」と言った。
 そして自分が智樹を連れ出している間に、智樹が所持していると思われる薬を見つけ出し、それを処分するように、とも。
 何よりも、中毒と言うよりは、薬に依存している可能性が高いと言う判断から、智樹から薬を遠ざけることが先決なんだと。
 正直、薬物に関する知識もそれ程持ち合わせていないし、俺は佐藤の指示に従うことにした。


 やっぱり佐藤に頼って良かった。


 俺は心底そう思った。
 尤も、今の俺には佐藤を除いて頼れる人なんて、誰一人としていないし、もし仮に翔真さんや相原さんに連絡が出来たとしても、あんな辞め方をしてしまった以上、どうしたって敷居の高さに尻込みしてしまう。


 こんな時、翔真さんだったらどうするんだろう……


 あの性格だから、ジッとしてるってことはないだろうし、佐藤のように、自身の危険なんて省みることなく、ただ智樹を救いたい一心で行動を起こすんだろうな。


 それに比べて俺は……


 「それから、その客が君に何と言ったかは分からないが、君も出来ることなら、早々に今のオーナーとは手を切った方が、俺も良いと思うな」

 あの客といい佐藤といい、言うことは同じだ。


 それが出来たらどんなに楽かもしれないけど……


 「君に、どうしても手を切れない理由があるのなら、話は別だがね」

 理由なんて、そんなもん最初っからありはしない。


 もし理由があるとしたら……それは、俺が智樹の傍にいたいから……なのかな。


 勿論、俺と智樹の間に恋愛感情はないし、肉体関係だってない。
 未遂は……なくはなかったけど、もそれだってステージ上の演出であって、そこには恋愛感情も性的欲求は存在しない。

 あるのは、《大田智樹》という一人のダンサーへの憧れと、親友としての友情だけ。


 智樹は、俺にとって唯一無二の存在だから……


 その気持ちはこの先に何が起ころうと変わりはしないし、変えるつもりもない。そして、俺が智樹の傍を離れることもきっと……ない。

 だから、智樹があのオーナーの元にいる限り、俺も今の場所を離れるつもりはない……というよりは、離れらんないんだよ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

機械に吊るされ男は容赦無く弄ばれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

処理中です...