S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

文字の大きさ
上 下
234 / 369
第19章   Clue

13

しおりを挟む
 創の話によれば、あの店で働くダンサーや黒服達は、ほぼ全員が『M』という人物がどこからか連れて来た少年達ばかりで、中でもダンス経験がある奴だけが、ダンサーとしてステージに立っているらしく、小学生の頃ほんの数ヶ月だけだが、ダンススタジオに通った経験があった創は、当然のことながらダンサー組に配属された。

 ただ、ダンサーとは言っても、数十人は集められた少年達は皆ほぼ素人同然で、当然ステージに立てるようなレベルではなく、そこで講師役として『M』が連れてきたのが、おそらくは智樹だ。

 講師と言いながら、一切踊ることはなく、カウントすらろくに取れなかったと言うんだから、ほぼ間違いないだろう。

 そしてオープンを一週間後に控えたある日、『M』から直接指名を受けた一人だけが、智樹の特別レッスンを受けることになり、スタジオに残された。
 その一人ってのが、坂口のスタジオに通っていた風雅だ。

 その後、スタジオに残された智樹と風雅の間で何が行われていたのか、創自身は一切知らされていないというが、俺の予想では、その時にあの曲の振りを写したんだと思う。


 それも智樹自身が直接風雅に……


 そうでなけりゃ、こけら落しと、智樹との最後のステージ、その二回しか公には披露されていない振り付けを、完璧とまではいかずとも、あそこまで似せられる筈がない。

 勿論、劇場では動画の撮影も禁じているから、智樹が踊る姿を収めた映像が存在する筈もない。

 俺だって持っていないのだから、それは確実。
 だとしたら、やはり智樹が直接風雅に振り入れをしたと考えるのが妥当だ。

 そして、オープン当日に俺達を招待したのも、あのステージを見せるためだろう。


 『M』って奴がどんな人間かはしらないが、随分とコケにされたもんだな、俺も……




 「今日はわざわざ来て貰って済まなかったね」
 「いえ、とんでもないです。僕の方こそご馳走になっちゃって。あの、お役に立てましたか?」

 伝票を手に先に席を立った俺達に続くように、創は慌てて腰を上げると、俺達に向かって頭を下げた。

 「勿論だよ、色々聞かせて貰っちゃって、こっちこそごめんね? もし良かったらまた会えるかな? あ、勿論君さえ良ければ、だけどさ」
 「はい、喜んで!」

 計算なのか、それともなのか、雅也の爽やか過ぎる笑顔に、顔を上げた創の目はすっかりハート形になっていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

機械に吊るされ男は容赦無く弄ばれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...