217 / 369
第18章 Emotion
8
しおりを挟む
「え、何で智樹が濡れてんの?」
棚からタオルを取り出しながら、呆れたように言う。
良かった、和人は気付いてない……
「どうせならシャワーしちゃえば? 昨日入りそびれちゃったでしょ?」
「うん、まあ……」
「じゃあ着替え用意しとくね? あ、せっかくだから一緒に入る?」
「えっ?」
ダメだ、そんなことしたら、潤一がここに来たことが和人に知られてしまう。
「ば、馬鹿か、こんな狭い風呂に大の大人が二人で入れっかよ。ほら、出てけって……」
Tシャツを脱ぎにかかった和人をドアの向こうに押しやり、俺は勢い良くドアを閉めた。
そして和人の足音がドアから遠ざかったのを確認してから、水に濡れたせいで肌に張り付くTシャツを脱ぎ、鏡に自分の身体を写した。
骨の浮き出た肌に残る幾つかの赤い斑点……
「こんなの見せられっかよ」
和人のことだから、きっと俺が答えるまで質問攻めにしてくる筈だ。そうなったら流石に黙り通すだけの根性は、今の俺にはない。
俺は水に濡れて冷えた身体を、今度は熱いお湯で暖めた。
夕方になって、先に迎えの来た和人を見送ってから、身支度を整えた。
今日の客は佐藤だと潤一が電話で言っていた。
佐藤は初めて俺を買った日以来、週に一度は俺を指名してくる。俺のことを大層気に入ってくれてるらしい。その証拠に、佐藤と会うのはホテルの一室ではなく、佐藤の自宅マンションなんてことも少なくはなかった。
堅苦しいことが嫌いな佐藤は、畏まった服装にも否定的で、そのおかげで俺も結べないネクタイを締める必要もない。至ってラフな服装で良いから、俺も気楽でいい。
ただ、くたびれたTシャツにハーフパンツとビーサンを履いて行った時には、流石に呆れられたけど。
それに佐藤は年の割にはとてもロマンチストで、夢を語るその目は、まるで子供のように輝いていて……
一度話し出したら中々止まらないから、セックスをすることなく時間が過ぎてしまうことも度々だ。
俺は佐藤が好きだった。
勿論、恋愛感情ではなくて、例えるなら父ちゃんか、年の離れた兄弟……みたいな感覚だったけど。
棚からタオルを取り出しながら、呆れたように言う。
良かった、和人は気付いてない……
「どうせならシャワーしちゃえば? 昨日入りそびれちゃったでしょ?」
「うん、まあ……」
「じゃあ着替え用意しとくね? あ、せっかくだから一緒に入る?」
「えっ?」
ダメだ、そんなことしたら、潤一がここに来たことが和人に知られてしまう。
「ば、馬鹿か、こんな狭い風呂に大の大人が二人で入れっかよ。ほら、出てけって……」
Tシャツを脱ぎにかかった和人をドアの向こうに押しやり、俺は勢い良くドアを閉めた。
そして和人の足音がドアから遠ざかったのを確認してから、水に濡れたせいで肌に張り付くTシャツを脱ぎ、鏡に自分の身体を写した。
骨の浮き出た肌に残る幾つかの赤い斑点……
「こんなの見せられっかよ」
和人のことだから、きっと俺が答えるまで質問攻めにしてくる筈だ。そうなったら流石に黙り通すだけの根性は、今の俺にはない。
俺は水に濡れて冷えた身体を、今度は熱いお湯で暖めた。
夕方になって、先に迎えの来た和人を見送ってから、身支度を整えた。
今日の客は佐藤だと潤一が電話で言っていた。
佐藤は初めて俺を買った日以来、週に一度は俺を指名してくる。俺のことを大層気に入ってくれてるらしい。その証拠に、佐藤と会うのはホテルの一室ではなく、佐藤の自宅マンションなんてことも少なくはなかった。
堅苦しいことが嫌いな佐藤は、畏まった服装にも否定的で、そのおかげで俺も結べないネクタイを締める必要もない。至ってラフな服装で良いから、俺も気楽でいい。
ただ、くたびれたTシャツにハーフパンツとビーサンを履いて行った時には、流石に呆れられたけど。
それに佐藤は年の割にはとてもロマンチストで、夢を語るその目は、まるで子供のように輝いていて……
一度話し出したら中々止まらないから、セックスをすることなく時間が過ぎてしまうことも度々だ。
俺は佐藤が好きだった。
勿論、恋愛感情ではなくて、例えるなら父ちゃんか、年の離れた兄弟……みたいな感覚だったけど。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説







寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる