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第17章 Betrayal
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「それ……は、ほんと……なのか?」
絞り出す声が震え、決めてた筈の覚悟がグラグラと揺らぎ始めた。
「い、いえ、まだ確実とは。あくまで噂の域を出ない情報ですので……」
山本さんが、なんともばつの悪そうな顔をする。
そりゃそうだろう、今の俺は、きっとこの世の終わりでも見たかのような顔をしているだろうから……
「ね、翔真、ちょっと落ち着こ? ね?」
「何言ってんだ、俺は落ち着いてるよ?」
俺は至って冷静だと、自分ではそう思っていた……と言うよりは、冷静を装っていたつもりだった。
なのに、膝の上で握りしめた拳に熱い滴が落ちた瞬間、俺は全ての感情がガラガラと音を立てて崩れていくのを感じた。
それと同時に、これまで智樹と積み上げて来た記憶も、重ねた思い出も、灰となって指の隙間からサラサラと零れて行くようで……
「悪ぃ、今日の所は帰ってくんねぇか……」
初めて会う奴に泣き顔を見られたくない思いがなかったわけじゃないが、兎に角一人になりたかった。
「どうやらその方が良さそうですね。山本そろそろお暇しようか」
「はい、殿様。それでは、また何か情報が入り次第、こちらから連絡をさせて頂きますので」
コツコツとブーツの踵を鳴らし支配人室を出て行く長身の男を、初老の男が足音一つ立てることなく後を追う。
俺はドアが閉まるのを視界の端に入れながら、それまで座っていたソファーから、エグゼクティブチェアへと場所を移した。
「コーヒーでも淹れようか」
二人を見送った雅也が、テーブルの上に広げられた報告書を纏めながら、誰に言う訳でもなくポツリ呟く。
そうか、雅也もきっと俺と同じ思いしてんだろうな。
和人が過去にウリやってたってだけでも、相当なショックだっただろうに、それに追い打ちをかけるようにこれだもんな……
平静を装ってはいるが、心中は複雑さを極めていることは、その切なく歪められた表情からも十分見て取れる。
俺は深い溜息を一つ落とすと、熱くなった目頭を腕で覆い、エグゼクティブチェアの背凭れに背中を預けた。
絞り出す声が震え、決めてた筈の覚悟がグラグラと揺らぎ始めた。
「い、いえ、まだ確実とは。あくまで噂の域を出ない情報ですので……」
山本さんが、なんともばつの悪そうな顔をする。
そりゃそうだろう、今の俺は、きっとこの世の終わりでも見たかのような顔をしているだろうから……
「ね、翔真、ちょっと落ち着こ? ね?」
「何言ってんだ、俺は落ち着いてるよ?」
俺は至って冷静だと、自分ではそう思っていた……と言うよりは、冷静を装っていたつもりだった。
なのに、膝の上で握りしめた拳に熱い滴が落ちた瞬間、俺は全ての感情がガラガラと音を立てて崩れていくのを感じた。
それと同時に、これまで智樹と積み上げて来た記憶も、重ねた思い出も、灰となって指の隙間からサラサラと零れて行くようで……
「悪ぃ、今日の所は帰ってくんねぇか……」
初めて会う奴に泣き顔を見られたくない思いがなかったわけじゃないが、兎に角一人になりたかった。
「どうやらその方が良さそうですね。山本そろそろお暇しようか」
「はい、殿様。それでは、また何か情報が入り次第、こちらから連絡をさせて頂きますので」
コツコツとブーツの踵を鳴らし支配人室を出て行く長身の男を、初老の男が足音一つ立てることなく後を追う。
俺はドアが閉まるのを視界の端に入れながら、それまで座っていたソファーから、エグゼクティブチェアへと場所を移した。
「コーヒーでも淹れようか」
二人を見送った雅也が、テーブルの上に広げられた報告書を纏めながら、誰に言う訳でもなくポツリ呟く。
そうか、雅也もきっと俺と同じ思いしてんだろうな。
和人が過去にウリやってたってだけでも、相当なショックだっただろうに、それに追い打ちをかけるようにこれだもんな……
平静を装ってはいるが、心中は複雑さを極めていることは、その切なく歪められた表情からも十分見て取れる。
俺は深い溜息を一つ落とすと、熱くなった目頭を腕で覆い、エグゼクティブチェアの背凭れに背中を預けた。
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