200 / 369
第17章 Betrayal
4
しおりを挟む
一緒に暮らしていた俺でさえ知らないことを、当然雅也が知る筈がなく、俺達は顔を見合わせては首を捻った。
「あの、その写真に写ってる男が、オーナーってことなんですか?」
「さあ、そこまでは何とも。ただ関係者であるとこは間違いないと思われます。お二人が裏の通用口から出入りしている姿を、何度となくお見かけしてますから」
確かに山本さんの言う通り、全く無関係な人間が裏口から出入りするなんてこと、そうは出来ることじゃない。
だとすれば、山本さんの予想は正しい筈だ。
「それともう一つ。これはまだ不確実と言いますか……、もし事実だとしたら、あまり気分の良いお話ではないのですが……」
それまで饒舌に語っていた山本さんの口調が急に重くなり、落ち着きのない視線が狭い室内を彷徨い始めた。
こんな写真を見せられただけでも、俺にとってはそこそこショックなのに、これ以上にショッキングなことが他に……?
「何だ、ハッキリ申してみよ」
口籠る山本さんに痺れを切らしたのは、山本さんの主でもあるお殿様だ。
内心、それを決めるのはアンタじゃない「この俺だ」と、そう言いたかったが、山本さんの心底困り果てた顔を見ると、それを言ってしまうのはどうにも憚られて……
「構いません、どうぞ、話して下さい」
可能な限りの虚勢を張ってみせるが、内心はそうでもなく、俺はフッと煙を吐き出すと、何本目かのタバコを灰皿に揉み消した。
ただ、見るからに従順そうな男が、主の言葉にも従えない程口淀むんだ、不確実とは言え、とんでもない情報を掴んでるに違いない。
だったら聞かないわけにはいかねぇだろ。
大体、今更何を聞かされようと、受け止める覚悟は出来てるし、そうじゃなかったら、俺に人を……智樹を愛する資格なんてねぇ……
そう思ってた……いや、俺は高を括ってたんだ。
あの店がショーパブを隠れ蓑に、一流企業の重役共を相手にした売春斡旋業をしていて、智樹が高級男娼として、男共の相手をさせられていること……
そして驚いたことに、行方を晦ましていた和人までもが、男娼をしていること……
その事実を聞かされるまでは。
「あの、その写真に写ってる男が、オーナーってことなんですか?」
「さあ、そこまでは何とも。ただ関係者であるとこは間違いないと思われます。お二人が裏の通用口から出入りしている姿を、何度となくお見かけしてますから」
確かに山本さんの言う通り、全く無関係な人間が裏口から出入りするなんてこと、そうは出来ることじゃない。
だとすれば、山本さんの予想は正しい筈だ。
「それともう一つ。これはまだ不確実と言いますか……、もし事実だとしたら、あまり気分の良いお話ではないのですが……」
それまで饒舌に語っていた山本さんの口調が急に重くなり、落ち着きのない視線が狭い室内を彷徨い始めた。
こんな写真を見せられただけでも、俺にとってはそこそこショックなのに、これ以上にショッキングなことが他に……?
「何だ、ハッキリ申してみよ」
口籠る山本さんに痺れを切らしたのは、山本さんの主でもあるお殿様だ。
内心、それを決めるのはアンタじゃない「この俺だ」と、そう言いたかったが、山本さんの心底困り果てた顔を見ると、それを言ってしまうのはどうにも憚られて……
「構いません、どうぞ、話して下さい」
可能な限りの虚勢を張ってみせるが、内心はそうでもなく、俺はフッと煙を吐き出すと、何本目かのタバコを灰皿に揉み消した。
ただ、見るからに従順そうな男が、主の言葉にも従えない程口淀むんだ、不確実とは言え、とんでもない情報を掴んでるに違いない。
だったら聞かないわけにはいかねぇだろ。
大体、今更何を聞かされようと、受け止める覚悟は出来てるし、そうじゃなかったら、俺に人を……智樹を愛する資格なんてねぇ……
そう思ってた……いや、俺は高を括ってたんだ。
あの店がショーパブを隠れ蓑に、一流企業の重役共を相手にした売春斡旋業をしていて、智樹が高級男娼として、男共の相手をさせられていること……
そして驚いたことに、行方を晦ましていた和人までもが、男娼をしていること……
その事実を聞かされるまでは。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる