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第17章 Betrayal
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「それについては私がお答えしましょう」
それまで沈黙を守り、お殿様の後ろに控えていた執事らしき男が、コホンと咳払いをしてから一歩前に歩み出る。
このご時世に、お殿様と名乗る男もそうだが、この山本という男も、時代錯誤な出で立ちが一層胡散臭さを増す。
でも今はこの男達に頼るしかない。
何より、この男が持って来た情報は確かだろうからな。
「実は、私共も方々手を尽くして調べてはみたのですが、どうやらあの辺一帯に箝口令が敷かれているのか、どこからも経営陣に関する情報を得ることは、残念ながら出来ませんでした」
「そうですか」
最初から全ての情報が得られるとは思っていなかったし、智樹の居所さえ分かれば……、智樹が生きていることさえ分かれば、今はそれだけで良い。
「これだけ分かれば十分です。お礼は追って……」
「ただ……」
言いかけた俺の言葉を遮るように、山本とか言う男はテーブルの上に一枚の写真を置いた。
「これ……は?」
「ご依頼を受けてから、何日か周辺を調べていたところ、桜木さんがお探しの……」
「智樹……ですか?」
「そうです、その智樹さんと思しき人物が、男性と連れ立って店に出入りする姿を何度かお見かけしまして。お連れの方の顔はハッキリとは分かりませんが、お心当たりは?」
言われて俺は写真を手に取り、智樹と一緒に写る男の後ろ姿に目を凝らした。
写真で見ても分かる、高級ブランドのスーツを纏ったスレンダーな長身と、袖口から覗く腕時計も、恐らくはかなりの高級品だろう。
明らかに俺達とは住む世界の違うと分かる人種で、到底智樹にそんな知り合いがいるとは思えない。
「いや……、知らないな」
大体、こうなるまで智樹の過去の交友関係なんて、気にしたこともなければ、知ろうともしてこなかった。
尤も、智樹自身が話したがらなかったってのもあるけど、唯一俺が知っているとすれば、智樹が大切にしていた写真に写るあの男、潤一だけだ。
でもその潤一だって、今はこの世には存在していない。
だとしたら、この写真に写る男は一体誰なんだ……
それまで沈黙を守り、お殿様の後ろに控えていた執事らしき男が、コホンと咳払いをしてから一歩前に歩み出る。
このご時世に、お殿様と名乗る男もそうだが、この山本という男も、時代錯誤な出で立ちが一層胡散臭さを増す。
でも今はこの男達に頼るしかない。
何より、この男が持って来た情報は確かだろうからな。
「実は、私共も方々手を尽くして調べてはみたのですが、どうやらあの辺一帯に箝口令が敷かれているのか、どこからも経営陣に関する情報を得ることは、残念ながら出来ませんでした」
「そうですか」
最初から全ての情報が得られるとは思っていなかったし、智樹の居所さえ分かれば……、智樹が生きていることさえ分かれば、今はそれだけで良い。
「これだけ分かれば十分です。お礼は追って……」
「ただ……」
言いかけた俺の言葉を遮るように、山本とか言う男はテーブルの上に一枚の写真を置いた。
「これ……は?」
「ご依頼を受けてから、何日か周辺を調べていたところ、桜木さんがお探しの……」
「智樹……ですか?」
「そうです、その智樹さんと思しき人物が、男性と連れ立って店に出入りする姿を何度かお見かけしまして。お連れの方の顔はハッキリとは分かりませんが、お心当たりは?」
言われて俺は写真を手に取り、智樹と一緒に写る男の後ろ姿に目を凝らした。
写真で見ても分かる、高級ブランドのスーツを纏ったスレンダーな長身と、袖口から覗く腕時計も、恐らくはかなりの高級品だろう。
明らかに俺達とは住む世界の違うと分かる人種で、到底智樹にそんな知り合いがいるとは思えない。
「いや……、知らないな」
大体、こうなるまで智樹の過去の交友関係なんて、気にしたこともなければ、知ろうともしてこなかった。
尤も、智樹自身が話したがらなかったってのもあるけど、唯一俺が知っているとすれば、智樹が大切にしていた写真に写るあの男、潤一だけだ。
でもその潤一だって、今はこの世には存在していない。
だとしたら、この写真に写る男は一体誰なんだ……
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