S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

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第16章   To a new stage

16

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 珍しく和人が作ってくれた、やたらと塩辛いお粥と栄養ドリンクで腹を満たすと、和人は一人納得した様子でシャワルームに入った。


 俺別に病人じゃないんだけどな……
 ってか、こんな塩辛いモン食わされる方が、よっぽど病気になりそうだけど。


 心の中で思っても、それを口には出さなかったのは、入れ過ぎた塩の分だけ、和人の優しさが詰まってることを、俺は知っているから。




 「じゃ、俺行ってくるから。智樹、今日は何も予定入ってないんでしょ?」

 シャワーを終え、着替えを済ませた和人が、普段は使うことのない整髪料を髪に撫で付けながら鏡越しに言う。

 「うん、まあ……」
 「だったら今日はゆっくりしてな? 飯の支度とかもしなくて大丈夫だからね? あ、あと薬も飲んでね? いい、分かった?」
 「あ、ああ、分かった。……ってか、お前は俺の保護者かよ」
 「だって智樹ってば、放っておくと無茶ばっかするじゃん? 何日もろくに寝ないでレッスンのこと考えたりさ。だからだよ?」


 なんだ、気付いてたのか。
 和人が寝静まったの見計らって、俺がレッスンのメニュー考えてたのを……


 でもだからって、ここ最近の和人の過保護っぷりは、散々翔真に甘やかされて来た俺でも呆れる程だ。
 ま、それが嬉しかったりするんだけど、それは黙っておこう。これ以上口煩くなられちゃ、俺の身がもたない。

 「分かったから、もう行けよ。時間に遅れると面倒なんだろ?」
 「いっけない! じゃ、行ってくるね?」
 「おう、行って来い」

 玄関先で和人を見送り、俺は飯の後片付けもそこそこに、連絡用に与えられたスマホを枕元に置いてから、ベッドに潜り込んだ。

 和人が買って来てくれた薬は飲んだものの、まだ頭の奥のズンとした重さは取れていないし、おまけに薬の影響なのか、眠たくて仕方ない。
 なのに中々寝付くことは出来ず、そうなると当然考えるのは翔真のことばかりで……

 和人の言ってたことが事実で、もし翔真が店に来ていたのだとしたら、翔真はあのステージを見た筈だ。翔真のことだからきっとは気付いた筈だ、俺があの演出に絡んでいる事を。


 どう思ったんだろう、翔真はあのステージを見て……


 アイツ、馬鹿なことしなきゃいいけど……
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