R　ー踊り子ー

誠奈

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第16章　　　To a new stage

１５

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　いつ、どうやってベッドまで辿り着いたのか、それすらも分からない程、目が覚めた時の気分は最悪で……
　ズキズキと痛む頭に若干の眩暈を感じながら、重い腰を引き摺るようにベッドを這い出た。

　「和人……？」

　狭い室内を見回しても、そこに和人の姿はどこにもなくて、それだけで酷く不安になる。

　「和……、和人……」

　アイツ、まさかまた……！

　俺はその場に崩れるように膝を付くと、フローリングの床を拳で叩いた。

　置いてかれたんだ、俺は一人になってしまったんだ。
　俺はまた……

　そう思ったその時、カチャンと外からロックが解除される音がして、玄関のドアがゆっくりと開き、俺を見るなり、驚いたように目を見開いた和人と視線が交差した。

　「どう……したの？」

　俺の気も知らない和人が、何とも間の抜けた声を上げ、床に両手を着いて項垂れる俺の額に手を当てた。

　「うん、熱はないみたいだね。気分は？　悪くない？」
　「え、あ、ああ、別に……」
　「そっか、なら良かった。ほら、智樹ってさ、一見頑丈そうに見えるけど、案外弱いとこあるじゃん？　だからさ、薬局連れてって貰ったんだ」

　そう言って和人は、俺の前に薬やら栄養ドリンクやらで目一杯膨れ上がった袋を差し出した。

　「これを買いに？　出てったわけじゃなくて？」

　俺のために？

　「そう……だけど？　あ、もしかして智樹、俺がまた逃げ出したと思ったとか？」
　「違う……のか？」
　「バカだな、俺もう逃げないって言ったでしょ？　それにこの部屋、外からしか開かないの、智樹だって知ってるでしょ？　逃げたくても逃げ出しようがないじゃん」
　「あ……」

　目が覚めた時に和人がいない、それだけのことに気が動転して、そんなこともスッカリ忘れていた。

　「ごめん、俺てっきり……」

　和人を疑うなんて、本気でどうかしてる……

　「ううん、俺も一言声掛けて行けば良かったんだけど、良く寝てたみたいだから。それよりさ、お腹空かない？」
　「あ、そう言えば……」

　言われて初めて気がついた。

　俺、昨日から何も食ってねぇや……

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