S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

文字の大きさ
上 下
145 / 369
第13章   Life

しおりを挟む
 翔真と、所謂《そういう関係》になってからの生活は、思った以上に楽しくて、それまで苦手意識を持っていた家事も、案外自分に向いていることが分かった。

 そして、もうすっかり消え失せてしまったと信じて疑わなかったダンスへの思いも、翔真のおかげなのか何なのか……、少しずつではあったけど、呼び起こされたようで……
 時折、翔真のPCから流れて来る音楽に合わせ、俺は足でリズムを刻むようになっていた。

 流石に、演歌や民謡が流れた時には、翔真の趣味を疑ったけど。




 そんな中、翔真は俺をある場所へと誘った。

 そこは、一見すると寂れた映画館のようにも見えて、俺はなんの疑いもなく翔真に手を引かれるまま、その建物の中へと足を踏み入れた。

 「ここ、俺の職場」

 凡そ50席はあるだろうか、中央の円形のステージ囲んだ客席の一つに座り、翔真が一段高いステージを見上げた。

 「職場……って、ライブハウスかなんかか?」
 「まあ、近いっちゃ近いかな……」

 正直意外だった。

 翔真の仕事が、世間一般で言うところのサラリーマンとは違うことは、何となくだけど気付いていた。出勤時間はまちまちだし、さっき出て行ったかと思ったら、その二、三時間後には帰って来たりで、一日中家にいることだって少なくはない。

 けど……

 「俺なぁ、一応ここの支配人なんだわ」
 「は?」
 「ついでに言うと、ライブハウスではなくて、ストリップ劇場な?」


 まさかストリップ劇場の支配人をしてるなんて……


 想像もしていなかった答えに、頭の中が酷く混乱する。

 「ストリップって、あの女の人が裸になって、その……なんつーか……」

 そういう世界があることは話には聞いたことがあるし、知ってはいたけど、未成年の俺にとっては、全く縁のない世界の話で……

 「おい、聞いてるか?」
 「えっ……、あ……、うん……」

 翔真が色々事細かに説明してくれるのも、殆どが上の空で……全く俺の耳には入って来なかった。

 だから、「このステージで踊ってみねぇか?」と聞かれた時も、一瞬頭が真っ白になって、言葉一つも発することが出来なくて、俺はただ無言で無人のステージを見上げることしか出来なかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

機械に吊るされ男は容赦無く弄ばれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...