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第10章 Rainy Kiss
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いつの間に眠ってしまったのか……夕方になり、一眠りしたせいか頭のスッキリした俺は、皺の付いた制服を脱ぎ、Tシャツとデニムのハーフパンツに着替えると、その上からダウンを羽織り、キャップを目深に被って家を出た。
昼間頭に思い描いたイメージを、忘れないうちに形にしよう。
そのために向かったのは、家から少し離れた公園。
そこなら誰に憚ることなくそこそこの音量で音楽を流せるし、何より人気のないことが、目立ちたくない俺にとっては助かっていた。
なのにこの日に限っては様子が違っていて、普段は人なんて殆どいない寂れた公園のベンチに、数人の学生と思しき集団が屯していた。
なんだ……、今日は空いてないのか……。
仕方ない、また明日出直すか。
諦めて引き返そうと思った俺の脳裏に、不意にアイツの言葉が過ぎった。
そう言えばアイツ、この先の堤防沿いの公園で練習してるって言ってたっけ……
行ってみるか……
別にアイツのことが気になったわけじゃない。
ただ練習する場所が欲しかっただけで、頭の中で作り上げたイメージを形に出来るなら、場所なんてどこでも良かった。
俺は堤防に向かって自転車を漕ぎ始めた。
途中コンビニに寄って、ペットボトルのスポーツドリンクを買った。
そうして堤防に着いた頃には、ついさっきまで茜色だった空が、徐々に夜の色に染められようとしていた。
こんな時間じゃ流石にいないか……
アイツの姿がそこになかったことにホッとしたような……、それでいて少し残念な思いで自転車をベンチの横に停めた。
「寒っ……」
ベンチに座り、スマホのカメラアプリを起動させる俺に、水面を這った冷たい風が否応なしに吹き付ける。
ダウンは着てるものの、その中は半袖のTシャツ一枚……
こんなことならもう少し厚着してくるんだった。
でも後悔したってもう遅い。
それに身体を動かしているうちにどうせ熱くなるだろうし……
昼間頭に思い描いたイメージを、忘れないうちに形にしよう。
そのために向かったのは、家から少し離れた公園。
そこなら誰に憚ることなくそこそこの音量で音楽を流せるし、何より人気のないことが、目立ちたくない俺にとっては助かっていた。
なのにこの日に限っては様子が違っていて、普段は人なんて殆どいない寂れた公園のベンチに、数人の学生と思しき集団が屯していた。
なんだ……、今日は空いてないのか……。
仕方ない、また明日出直すか。
諦めて引き返そうと思った俺の脳裏に、不意にアイツの言葉が過ぎった。
そう言えばアイツ、この先の堤防沿いの公園で練習してるって言ってたっけ……
行ってみるか……
別にアイツのことが気になったわけじゃない。
ただ練習する場所が欲しかっただけで、頭の中で作り上げたイメージを形に出来るなら、場所なんてどこでも良かった。
俺は堤防に向かって自転車を漕ぎ始めた。
途中コンビニに寄って、ペットボトルのスポーツドリンクを買った。
そうして堤防に着いた頃には、ついさっきまで茜色だった空が、徐々に夜の色に染められようとしていた。
こんな時間じゃ流石にいないか……
アイツの姿がそこになかったことにホッとしたような……、それでいて少し残念な思いで自転車をベンチの横に停めた。
「寒っ……」
ベンチに座り、スマホのカメラアプリを起動させる俺に、水面を這った冷たい風が否応なしに吹き付ける。
ダウンは着てるものの、その中は半袖のTシャツ一枚……
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でも後悔したってもう遅い。
それに身体を動かしているうちにどうせ熱くなるだろうし……
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