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第7章 Fate
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「そうね、それも仕方ないわね。アンタの好きにすればいいわ。でもね和人、もう二度と誰かを悲しませるような真似だけはしないで頂戴。それだけは約束して欲しいの……」
ゴツゴツした男らしい手には不釣り合いな程赤く染められた指先が、そっと俺の手を包み込む。その手の温もりが何だか擽ったくて……
「わ、分かってるよ、約束するって……」
俺はその手を乱暴に振り切り、両腕をガッチリ組んだ。
だってさ、父ちゃんでもなく、ましてや母ちゃんでもないのにさ、そんな風に愛情たっぷりに優しくされちゃったらさ、俺……、どうしていいか分かんないよ……
尤も、俺は両親の愛情ってのがどんな物なのか、全然知らないけど……
「そ、分かったわ。じゃあ、早速だけど今晩からお願い出来るかしら? 勿論、キッチンだけど」
「えっ、今日から? まあ、いいけど……世話になる身だしね」
昨日の夜、ろくに眠れなかったこともあって、今日はゆっくりしたかったけど、他でもない茂美さんに頼まれたんじゃ、断ることなんて出来ない。
「あ、買い出しはアタシがしておくから、アンタは営業時間までにこの部屋を何とかしなさい。分かったわね?」
「へーい……」
「返事は《はい》でしょ?」
「……はい」
なんだろうな、茂美さんってナリは女だけど、実は男で、男なんだけど女の心持ってて、俺からするとすげぇ不思議な人なんだけど、でも俺にもし母ちゃんがいたとしたら、茂美さんみたいな人がいい。
「あ、それからさ……」
「どうせ誰かが自分を尋ねてきても、知らぬ存ぜぬを通せ、って言いたいんでしょ? アンタの言いたいことなんて、お見通しよ。何年この商売やってると思ってんの?」
確かに。
茂美さんの人を見る目は確かだ。それに一度交わした約束は、絶対に破ったりしない。
男気っていうかさ、そういうとこはやっぱ男なんだよな。
ゴツゴツした男らしい手には不釣り合いな程赤く染められた指先が、そっと俺の手を包み込む。その手の温もりが何だか擽ったくて……
「わ、分かってるよ、約束するって……」
俺はその手を乱暴に振り切り、両腕をガッチリ組んだ。
だってさ、父ちゃんでもなく、ましてや母ちゃんでもないのにさ、そんな風に愛情たっぷりに優しくされちゃったらさ、俺……、どうしていいか分かんないよ……
尤も、俺は両親の愛情ってのがどんな物なのか、全然知らないけど……
「そ、分かったわ。じゃあ、早速だけど今晩からお願い出来るかしら? 勿論、キッチンだけど」
「えっ、今日から? まあ、いいけど……世話になる身だしね」
昨日の夜、ろくに眠れなかったこともあって、今日はゆっくりしたかったけど、他でもない茂美さんに頼まれたんじゃ、断ることなんて出来ない。
「あ、買い出しはアタシがしておくから、アンタは営業時間までにこの部屋を何とかしなさい。分かったわね?」
「へーい……」
「返事は《はい》でしょ?」
「……はい」
なんだろうな、茂美さんってナリは女だけど、実は男で、男なんだけど女の心持ってて、俺からするとすげぇ不思議な人なんだけど、でも俺にもし母ちゃんがいたとしたら、茂美さんみたいな人がいい。
「あ、それからさ……」
「どうせ誰かが自分を尋ねてきても、知らぬ存ぜぬを通せ、って言いたいんでしょ? アンタの言いたいことなんて、お見通しよ。何年この商売やってると思ってんの?」
確かに。
茂美さんの人を見る目は確かだ。それに一度交わした約束は、絶対に破ったりしない。
男気っていうかさ、そういうとこはやっぱ男なんだよな。
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