S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

文字の大きさ
上 下
64 / 369
第7章   Fate

しおりを挟む
 ジェットコースター並の運転に、ぼんやり景色を眺める余裕もなく、半ば三半規管をヤラれながら茂美さんの店に着いた俺は、早速部屋の掃除を始めた。

 茂美さんの店は店舗兼住居になっていて、店の二階部分は茂美さんのプライベートゾーンになっていて、俺に宛てがわれたのは、以前世話になってた時と同じ部屋だった。
 当然だけど、ずっと締め切ったままされていたわけだから、部屋の空気はすこぶる悪い。

 「掃除とかは別にいいけど、せめてさ空気の入れ替えくらいすればいいのに……」
 「だって仕方ないでしょ、アタシだって暇じゃないんだから」

 窓を開け放ち、わざとらしく咳き込む俺に、押し入れから布団を出しては、次々物干し竿に掛けて行く茂美さんが言い訳をする。


 まあ、分かってるけどね?
 茂美さんて、自分の身形に関しては煩いけど、それ以外のことに関しちゃ、全くと言っていい程適当な人だからさ……

 でもそんな茂美さんだからこそ、俺も気楽に居られるんだけどね。


 「あ、でさ、俺考えたんだけどさ……」
 「あら、何を?」


 ほらね、この調子だ。


 「だからさ、俺の仕事っつーかさ……」
 「ああ、その事ね! で、アンタどうしたいの?」

 白い割烹着を脱ぎ、頭のほっかむりを取った茂美さんが、畳の上で両足を伸ばした。

 「ホントはさ、ショーとか出れるんだったら、俺もその方が良いんだけどさ、そういう訳にもいかなくてさ……」

 俺の話を、茂子さんは何も言わず、じっと聞いてくれる。智樹もそういうとこあったけど、もしかしたら二人似てんのかも。

 「かと言って、カウンターに出るのもやっぱ出来ないんだけど、キッチンの方だったら出来るかな、って思ってさ……」

 キッチンなら、客の対応もしなくてもいいし、顔を見られることもないから、今の俺にとっては打って付けの場所だ。


 ただ、料理に自身があるか、って言ったら……それはかなり疑問だけど。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

機械に吊るされ男は容赦無く弄ばれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

処理中です...