S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

文字の大きさ
上 下
60 / 369
第7章   Fate

しおりを挟む
 「アイツらさ、その時の客でさ……」

 そう、元々はただの客だった。一夜限りの、通りすがりのような関係。

 「でもさ、何度か会ううちに、あの中の一人が、俺と客との仲介みたいなこと始めて……。その時になって漸く気付いたんだ、アイツらがグルだった、って……」

 俺は言われるままに身体を売り続けた。
 そうしてれば、日々を過ごすだけの金は手に入ったし、何より孤独を感じるともなかった。

 でもそれも最初のうちだけ……

 「アイツらさ、仲介料だとかなんとか言って、売上の殆どをピンハネするようになってさ……」

 結局俺の手元に残ったのは、一日食うに困らないだけの金と、その日の宿代だけ……って言っても、ネットカフェの、あの薄暗くて狭い空間が、専ら俺の常宿だったけど……

 「……んだよ、それ。いくら仲介料だって言ったって、元はお前の……、お前が身体売って稼いだ金だろ? なのに……」

 表情にこそ出さないけど、智樹が怒っていることは、俺の手を包んだ智樹の手に込められた力で分かる。

 「そうだよ、俺が……俺がさ、好きでもない、それこそ見ず知らずの男達に身体を良いようにさせて、それで漸く手に入れた金だよ……。なのにアイツら……」

 今更ながらに、自分の愚かさに悔し涙が溢れる。


 後悔したって過去を消せる訳でもないのに…


 「逃げようとは思わなかったのか?」
 「逃げたかったよ……」


 実際、何度も逃げようと思ったよ、もうこんな仕事も辞めて、真っ当な仕事に就こうって……


 「でも出来なかったんだ……」
 「何で……?」
 「俺、アイツらがまだ客だった頃に、アイツら騙して金借りてたから……」
 「幾らだよ……」
 「一人二百万だとして、六百万かな……。多分、アイツらの言うデカい貸しってのは、そのことだと思う」


 とは言っても、売り上げからピンハネした金で、その半分以上は返せてる筈だけど……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

機械に吊るされ男は容赦無く弄ばれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

処理中です...