45 / 369
第5章 Time
8
しおりを挟む
「ぜっーてー無理っ!」
劇場駐車場に着いても、智樹は頑として車から降りようとはせず……
「なあ、そこをなんとか頼むわ、な?」
あー、情けねぇ……、なんで俺が智樹に頭下げなきゃなんねぇんだよ、ったく。
でも現状、ダンスが出来て、その上見てくれも程々に良くて、なんて奴……智樹以外には考えられない。
実際、智樹の身体をマジマジと見たことはなかったが、一見華奢なように見えて、案外引き締まった良い身体をしているのは、服の上からでも十分見て取れる。
「いくら翔真の頼みでも無理。裸になんのは別に構わねぇけど、踊んのだけは絶対無理」
最初っからすんなりいくとは思ってなかったが、まさかここまで頑固だとは……、ちょっと予想外だった。
「つか、今お前何て言った? 裸になるのは構わない、って言ったよな?」
「あ、ああ、確かに言った……かも……」
「だったらそれでも構わねぇ」
「は、はあ?」
勿論、俺が求めてるのは、ショーを目的としたストリップであって、ただ棒立ちで服さえ脱いでりゃ良いってもんでもない。
そこには、ダンスのスキルは勿論のこと、視線の配り方や、指先一つ一つの表現力だって必要になってくるのは当然のことだ。
でも今の状況で、それに拘ってる余裕なんて、俺にはない。
女性ストリッパーに対して男性ストリッパーの比率が数段に少ない以上、一人抜ければその代償はかなりのもんだ。しかもそれが人気NO.1のダンサーともなれば尚のことだ。
背に腹はかえられねぇ……
「着いてこい」
「えっ、ちょっ……」
俺は助手席のシートで、シートベルトを握り締めたまま、テコでも動く素振りのない智樹を強引に車から引き摺り下ろすと、俺の手を振り解こうとする手をギュッと掴み、裏の通用口から劇場内へと入った。
楽屋のある二階へと続く階段は、通用口を抜けてすぐの所にあって、俺は薄暗い階段を、智樹を振り返ることなく駆け登った。
劇場駐車場に着いても、智樹は頑として車から降りようとはせず……
「なあ、そこをなんとか頼むわ、な?」
あー、情けねぇ……、なんで俺が智樹に頭下げなきゃなんねぇんだよ、ったく。
でも現状、ダンスが出来て、その上見てくれも程々に良くて、なんて奴……智樹以外には考えられない。
実際、智樹の身体をマジマジと見たことはなかったが、一見華奢なように見えて、案外引き締まった良い身体をしているのは、服の上からでも十分見て取れる。
「いくら翔真の頼みでも無理。裸になんのは別に構わねぇけど、踊んのだけは絶対無理」
最初っからすんなりいくとは思ってなかったが、まさかここまで頑固だとは……、ちょっと予想外だった。
「つか、今お前何て言った? 裸になるのは構わない、って言ったよな?」
「あ、ああ、確かに言った……かも……」
「だったらそれでも構わねぇ」
「は、はあ?」
勿論、俺が求めてるのは、ショーを目的としたストリップであって、ただ棒立ちで服さえ脱いでりゃ良いってもんでもない。
そこには、ダンスのスキルは勿論のこと、視線の配り方や、指先一つ一つの表現力だって必要になってくるのは当然のことだ。
でも今の状況で、それに拘ってる余裕なんて、俺にはない。
女性ストリッパーに対して男性ストリッパーの比率が数段に少ない以上、一人抜ければその代償はかなりのもんだ。しかもそれが人気NO.1のダンサーともなれば尚のことだ。
背に腹はかえられねぇ……
「着いてこい」
「えっ、ちょっ……」
俺は助手席のシートで、シートベルトを握り締めたまま、テコでも動く素振りのない智樹を強引に車から引き摺り下ろすと、俺の手を振り解こうとする手をギュッと掴み、裏の通用口から劇場内へと入った。
楽屋のある二階へと続く階段は、通用口を抜けてすぐの所にあって、俺は薄暗い階段を、智樹を振り返ることなく駆け登った。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説




寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる