S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

文字の大きさ
上 下
27 / 369
第4章   Asymmetrical  

しおりを挟む
 「だーめ! 智樹踊りたいんでしょ? だったら大人しく俺の言うこと聞いて? ね?」

 でも和人が俺の手からメイク落としを取り上げてしまうから、取り返そうとしたら背中から包み込むように抱きしめられた。

 「俺達の仕事ってさ、大勢……ではないけど、客の前で裸見せてさ、とてもじゃないけど人様に威張って言える仕事ではないけど、でもダンサーであることに違いは無いわけじゃん? だったらさ、見てくれなんて気にする必要なくない?」

 確かに和人の言う通りだと思う。ダンサーとは言っても所詮はストリッパー、それは紛れもない事実。


 でも……、それでも俺はダンサーであり続けたい、いや、そうあり続けなきゃいけないんだ、……俺が殺したアイツのためにも。

 それが例え、オナニー目的のイカれたエロ野郎達の前であろうとも……な。


 「分かったよ……、分かったから、手ぇ離せ」

 俺は肩に回った和人の華奢な腕を払い落とし、再び姿見に向かうと、鏡越しに和人を睨み付けた。
 大体、俺とそう大して背丈も変わんねぇくせに……なんなら、和人の方が俺なんかよりよっぽど華奢なくせに、そんな和人の腕に包まれて心臓バクバクさせてるなんて……、ありえねぇし。

 「くく、智樹はやっぱそうでなくちゃ」
 「うっせーわ」

 クスクスと肩を揺らす和人を他所に、俺は鞄から取り出した写真立てを鏡の前に置くと、いつものように「行ってくるから」と写真の中で俺に向かって笑いかける潤一に語りかけた。

 普段と変わらない儀式をする俺を、和人が複雑な顔で見守る。


 分かってる。

 いつまでも過去に縛られてる俺を、和人が見ていたくないことなんて、いくら鈍感な俺にだって分かってる。


 でもさ、やっぱ忘れるなんてこと出来ないんだよ、俺には。


 「行こうか」
 「あ、ああ……」

 俺は半ば和人に引き摺られる格好で階段を降りた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

機械に吊るされ男は容赦無く弄ばれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

処理中です...