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序章:平穏の終わり
6/2(月):情報の共有
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東京ダンジョンの十三階層に到達したところで俺たちは引き返すことにした。
「レベルはいくつになったんだ?」
EXP超ブーストを二つ得た愛理と東雲さんが午後だけでどれくらいレベルが上がったのか気になった。
「私は128だよ! このEXP超ブーストすごいね!」
「はい。私は134ですのでこれで世界で公表されている最高レベルを超えている人が四人もいるわけですね」
「輝夜さんのレベルも聞いてもいい?」
俺が前に愛理から聞かれた時は教える気がなかったけど今回はその限りではない。
「Lv201よ」
「二百!? すごっ!」
輝夜もそう考えているのかレベルをこの場で公開した。
でも普通の人はヤバいな。レベルが二百を超えてからEXPが億単位で要求されている。俺は未だに七万だぞ。
追いつかれて追い抜かれそうだなと思っていたがこれは全然そうではない。むしろEXP超ブーストをまた増やさないと軽快にレベルが上がらなくなる。
「えっ、それなら学人くんは!? 今回は教えてくれるのかな!?」
「あぁ。前回とは違ってもうこちら側に引き入れているからな。それとも今回もクイズ形式にするか?」
「それも楽しそうだけど……そのまま教えて!」
「Lv546だ」
少しドヤ顔を入れて答えてみた。
「……すごいね!」
愛理の顔がえっという顔からウソでしょという顔に変わり、でも学人くんなら当然かな? という感情表現をしてくれて満足だ。
「恐ろしいですね。こちら側のレベルを合わせても到達しないとは」
「俺の場合は必要EXPが百ずつしか増えませんから最初を超えればレベルを上げやすいんですよ」
「へぇ、学人くんってそうだったんだぁ……そんなこともあるんだね」
「案外、公表されている最高レベルの人も必要EXPが少ないのかもしれないわね」
「そうだな。最初のEXPも少なければそうなるかもしれない」
でもそれならもっとレベルが上がっていてもいいだろうに。何か事情があるのかもしれないがそれは分からない。
「転移するから俺につかまれ」
俺がパーティにいる場合はどれだけ深く潜ったとしても何度か転移すればすぐに地上に帰ることができる。この転移と立体地図は輝夜にも共有すべきだな。
輝夜は俺の腕に抱き着いて愛理に見せつけたが愛理は反対側の腕に抱き着いてきた。
「……東江愛理。それはどういうことかしら?」
「つかまっているだけだよ?」
「それは抱き着いていると言うのよ。早く離れなさい。これをしていいのは私だけよ」
「でもこれ以外に分からないなー」
「……あなた、ウソをつく時は目が泳ぎまくるのね」
これ以外に分からないと言っている愛理の目はかなり泳いでいた。これは誰でもウソを見抜ける。
「私もこれがしたい!」
「我慢しなさい。大人でしょう」
「むぅー!」
あぁ、ワガママなお嬢さまだ。
「もう時間がもったいないですから東雲さん、直接でも間接的でも触れてください」
「では失礼します」
まるで空気を読んでいると言わんばかりに俺の胴に背後から腕を回してきた東雲さん。
「ちょっと! いい加減にしなさい!」
「これが正解なのではありませんか?」
「そんなわけないでしょ!」
「あぁっ! 私もそれにすればよかった!」
もう収拾がつかないからこれで転移を始める。結構ダンジョン階層と階層の間は距離があるけど一直線に向かうから関係なく二回の転移でダンジョン出入口の手前で飛んだ。
「到着だ」
「ありがとうございます」
東雲さんはすぐに離れてくれたが輝夜はともかく愛理は離れようとしなかった。
「離れなさいよ」
「もう少しだけ……ダメ?」
「いいわけないでしょ。恋人でもないのにそんなこと許されるわけないわ」
「はーい」
愛理は渋々俺から離れてくれ輝夜は抱き着くのはやめたが俺の手を取ってきたから恋人つなぎをする。
「じゃあここで解散だな。また連絡する」
「ちょ、ちょっと待って!」
解散しようとすると愛理に止められた。
「どうせだからさ、一緒にご飯を食べに行かないかな?」
「イヤよ。私は学人の料理が食べたいの」
輝夜は外食はあまり好きではないな。俺は特に嫌いとかではないし輝夜が用事の時で一緒にいない時は外食だったな。
「えっ、学人くん料理作れるの!?」
「作れるぞ。家のご飯当番は俺だからな」
「私も食べたい! 家に行っていいかな?」
ものすごく嫌そうな顔をしている輝夜。
「イヤよ」
「ホントにダメかな……?」
「学人に選ばれたからといって調子に乗りすぎよ」
「そ、そうだよね。ごめんね? ……でも一緒に冒険できて嬉しくて……」
「……ハァ。今日だけよ」
「ホント!? ありがとう!」
おぉ、通った。輝夜は優しいし愛理が少し気に入っているのだろう。
「ではこちらに車があります」
愛理と東雲さんが乗ってきた車のところに向かう。
「愛理は助手席よね?」
「私も学人くんの隣がいいなぁ……」
「では後部座席にお三方がお乗りになればいいかと」
何で助手席が空いているのに後部座席に三人乗るんだよと思ったがここは収まらないと思って俺が真ん中で左右に輝夜と愛理が座った。
「輝夜さまのお家でよろしいでしょうか?」
「買い物をして帰りたいですね。どこか適当なスーパーにでも寄ってくれれば」
「それならばお家に食材をお届けしますからこのままお家に向かいます」
「いいんですか?」
「こちらこそお嬢さまのワガママにお付き合いいただいているのです。全く問題ありません。何か食材の要望はありますか?」
「魚があれば魚が欲しいですね」
「承知しました。シートベルトはよろしいですか?」
東雲さんは素早くスマホを操作した後、車を発進させた。
ダンジョンのモンスターについて愛理が話してくれそれに負けじと輝夜が知識披露するという状態で輝夜の家にたどり着いた。
俺はいつも輝夜に聞かされているから何とか話について来れるがまた知らない情報を仕入れている輝夜だから後半からはついて来れなくなっていた。
「誰かいるな」
「あっ、香織だ」
車の前で腕を後ろで組んで待っている女性がいた。緑色がかった黒髪をポニーテールにしているキリっとした面持ちの女性だ。
「お嬢さま、東雲殿! 新鮮な魚介をお持ちしました!」
こちらの姿を確認するなりぴしっと敬礼した女性。
「学人さま、輝夜さま。こちらは無月株式会社で働いている朝日奈香織です」
「朝日奈香織であります!」
「香織。こちらのお二人は新月学人さまに月見里輝夜さまよ。昇龍クランの団長と副団長ね」
「団長殿に副団長殿でありましたか! 先日よりクランに配属されている若輩者ではありますがどうぞよろしくお願いいたします!」
「よろしくお願いします、新月学人です」
「月見里輝夜です」
この人が朝日奈香織さんか。随分と面白い人だな。
「学人くんの料理本当に美味しかった!」
「当たり前よ」
俺が作った料理を食べて満足そうにしている愛理。そして称賛を代わりに受けている輝夜も満足していた。
かなりいい魚があったから張り切って作ってしまった。しかも生きている状態だったから新鮮に違いなかったし一目でいい魚だと分かった。
「後片付けは私が」
「いえ大丈夫ですよ」
「ここまでされて後片付けまでやらせていては東江家のメイドとして名が泣きます。どうかここは私のためと思ってお任せください」
「……それならお願いします」
「はい。お任せください」
東雲さんに片付けを任せテーブル席の輝夜の隣に着く。
「ねぇ、学人くん」
「どうした?」
「もしかしてだけど……何かあったの?」
輝夜とオンブルの考察をしていた愛理だが急にそんなことを聞いてきた。
「どうしてそう思うんだ?」
「だって、前回は信用できるかどうかを見ていた感じだけど今日はなりふり構ってられないって感じがしたよ」
まあ少し話を急にし過ぎた感じはするな。それにしてはよく見ている。
「学人、言うの?」
「あぁ、言う。これは少しでも知っている人がいればいいだろうからな。それを信じるかどうかは別だけど」
「そうね」
言おうとは思っていたがこの機会に言おう。
「六月十日に世界各地のダンジョンから異世界の軍団が襲い掛かってくるんだよ」
「六月十日ってちょうど三年になる日だよね……どういうこと?」
俺がマジで言っているのは分かっているだろうが本当かを信用できていない愛理。
「諸々説明を省いたらそこら辺しか言えないんだよな。東京ダンジョンは一千万の魔法が得意な敵が来る」
「……普通なら信用できないけど、今までの学人くんの功績と一年前に少し話題になった予知の話があれば信用できるかも」
「あぁ、あれね。あの予知は少し騒がれたわね」
「そうだよね!」
「何だそれ」
二人は通じているが俺は全く通じていない。
「一年くらい前にネットで話題になったのよ。自称予知のアビリティを持っている人がダンジョンが出現してから三年で災厄が訪れるって」
「へぇ。どうしてそれがもっと騒がれなかったんだ?」
「その自称予知アビリティ持ちが身バレして嘘つきだって知られたからこれもウソだってことになったんだよ」
「それは信じないな。でも予知アビリティは持っていたのかもしれないな」
予知アビリティか。そいつがしょうもない奴で会う機会があればアビリティを奪お。
「私も調べたんだけどそれ以上は情報が出てこなかったんだよねぇ。だからデマだと思って忘れていたんだけど……本当かもしれないね」
「私は最初から学人のことは信用しているわよ」
「……そうできたらいいんだけどね」
「その情報によっては、東江家も動かなければいけませんね」
後片付けをもう終わらせた東雲さんも話を聞いていたのだろう。
「この情報をどうするかは愛理に任せるよ。俺はそれを九十%は信じているからそれを前提に準備する」
「学人の目標レベルはあるのかしら?」
「そりゃ千だろ。輝夜は?」
「そうね……欲を言えば五百。少なくとも三百にはしたいわね」
今後のダンジョン攻略はどうしようかな。
「うん、決めた。私も学人くんを信じて動くね」
「そうか」
サブステータスを上げて無駄死にするのもそれはそれでアリだ。それだけの人間だということだけだからな。
さてさて、この情報でどうなることやら。
「レベルはいくつになったんだ?」
EXP超ブーストを二つ得た愛理と東雲さんが午後だけでどれくらいレベルが上がったのか気になった。
「私は128だよ! このEXP超ブーストすごいね!」
「はい。私は134ですのでこれで世界で公表されている最高レベルを超えている人が四人もいるわけですね」
「輝夜さんのレベルも聞いてもいい?」
俺が前に愛理から聞かれた時は教える気がなかったけど今回はその限りではない。
「Lv201よ」
「二百!? すごっ!」
輝夜もそう考えているのかレベルをこの場で公開した。
でも普通の人はヤバいな。レベルが二百を超えてからEXPが億単位で要求されている。俺は未だに七万だぞ。
追いつかれて追い抜かれそうだなと思っていたがこれは全然そうではない。むしろEXP超ブーストをまた増やさないと軽快にレベルが上がらなくなる。
「えっ、それなら学人くんは!? 今回は教えてくれるのかな!?」
「あぁ。前回とは違ってもうこちら側に引き入れているからな。それとも今回もクイズ形式にするか?」
「それも楽しそうだけど……そのまま教えて!」
「Lv546だ」
少しドヤ顔を入れて答えてみた。
「……すごいね!」
愛理の顔がえっという顔からウソでしょという顔に変わり、でも学人くんなら当然かな? という感情表現をしてくれて満足だ。
「恐ろしいですね。こちら側のレベルを合わせても到達しないとは」
「俺の場合は必要EXPが百ずつしか増えませんから最初を超えればレベルを上げやすいんですよ」
「へぇ、学人くんってそうだったんだぁ……そんなこともあるんだね」
「案外、公表されている最高レベルの人も必要EXPが少ないのかもしれないわね」
「そうだな。最初のEXPも少なければそうなるかもしれない」
でもそれならもっとレベルが上がっていてもいいだろうに。何か事情があるのかもしれないがそれは分からない。
「転移するから俺につかまれ」
俺がパーティにいる場合はどれだけ深く潜ったとしても何度か転移すればすぐに地上に帰ることができる。この転移と立体地図は輝夜にも共有すべきだな。
輝夜は俺の腕に抱き着いて愛理に見せつけたが愛理は反対側の腕に抱き着いてきた。
「……東江愛理。それはどういうことかしら?」
「つかまっているだけだよ?」
「それは抱き着いていると言うのよ。早く離れなさい。これをしていいのは私だけよ」
「でもこれ以外に分からないなー」
「……あなた、ウソをつく時は目が泳ぎまくるのね」
これ以外に分からないと言っている愛理の目はかなり泳いでいた。これは誰でもウソを見抜ける。
「私もこれがしたい!」
「我慢しなさい。大人でしょう」
「むぅー!」
あぁ、ワガママなお嬢さまだ。
「もう時間がもったいないですから東雲さん、直接でも間接的でも触れてください」
「では失礼します」
まるで空気を読んでいると言わんばかりに俺の胴に背後から腕を回してきた東雲さん。
「ちょっと! いい加減にしなさい!」
「これが正解なのではありませんか?」
「そんなわけないでしょ!」
「あぁっ! 私もそれにすればよかった!」
もう収拾がつかないからこれで転移を始める。結構ダンジョン階層と階層の間は距離があるけど一直線に向かうから関係なく二回の転移でダンジョン出入口の手前で飛んだ。
「到着だ」
「ありがとうございます」
東雲さんはすぐに離れてくれたが輝夜はともかく愛理は離れようとしなかった。
「離れなさいよ」
「もう少しだけ……ダメ?」
「いいわけないでしょ。恋人でもないのにそんなこと許されるわけないわ」
「はーい」
愛理は渋々俺から離れてくれ輝夜は抱き着くのはやめたが俺の手を取ってきたから恋人つなぎをする。
「じゃあここで解散だな。また連絡する」
「ちょ、ちょっと待って!」
解散しようとすると愛理に止められた。
「どうせだからさ、一緒にご飯を食べに行かないかな?」
「イヤよ。私は学人の料理が食べたいの」
輝夜は外食はあまり好きではないな。俺は特に嫌いとかではないし輝夜が用事の時で一緒にいない時は外食だったな。
「えっ、学人くん料理作れるの!?」
「作れるぞ。家のご飯当番は俺だからな」
「私も食べたい! 家に行っていいかな?」
ものすごく嫌そうな顔をしている輝夜。
「イヤよ」
「ホントにダメかな……?」
「学人に選ばれたからといって調子に乗りすぎよ」
「そ、そうだよね。ごめんね? ……でも一緒に冒険できて嬉しくて……」
「……ハァ。今日だけよ」
「ホント!? ありがとう!」
おぉ、通った。輝夜は優しいし愛理が少し気に入っているのだろう。
「ではこちらに車があります」
愛理と東雲さんが乗ってきた車のところに向かう。
「愛理は助手席よね?」
「私も学人くんの隣がいいなぁ……」
「では後部座席にお三方がお乗りになればいいかと」
何で助手席が空いているのに後部座席に三人乗るんだよと思ったがここは収まらないと思って俺が真ん中で左右に輝夜と愛理が座った。
「輝夜さまのお家でよろしいでしょうか?」
「買い物をして帰りたいですね。どこか適当なスーパーにでも寄ってくれれば」
「それならばお家に食材をお届けしますからこのままお家に向かいます」
「いいんですか?」
「こちらこそお嬢さまのワガママにお付き合いいただいているのです。全く問題ありません。何か食材の要望はありますか?」
「魚があれば魚が欲しいですね」
「承知しました。シートベルトはよろしいですか?」
東雲さんは素早くスマホを操作した後、車を発進させた。
ダンジョンのモンスターについて愛理が話してくれそれに負けじと輝夜が知識披露するという状態で輝夜の家にたどり着いた。
俺はいつも輝夜に聞かされているから何とか話について来れるがまた知らない情報を仕入れている輝夜だから後半からはついて来れなくなっていた。
「誰かいるな」
「あっ、香織だ」
車の前で腕を後ろで組んで待っている女性がいた。緑色がかった黒髪をポニーテールにしているキリっとした面持ちの女性だ。
「お嬢さま、東雲殿! 新鮮な魚介をお持ちしました!」
こちらの姿を確認するなりぴしっと敬礼した女性。
「学人さま、輝夜さま。こちらは無月株式会社で働いている朝日奈香織です」
「朝日奈香織であります!」
「香織。こちらのお二人は新月学人さまに月見里輝夜さまよ。昇龍クランの団長と副団長ね」
「団長殿に副団長殿でありましたか! 先日よりクランに配属されている若輩者ではありますがどうぞよろしくお願いいたします!」
「よろしくお願いします、新月学人です」
「月見里輝夜です」
この人が朝日奈香織さんか。随分と面白い人だな。
「学人くんの料理本当に美味しかった!」
「当たり前よ」
俺が作った料理を食べて満足そうにしている愛理。そして称賛を代わりに受けている輝夜も満足していた。
かなりいい魚があったから張り切って作ってしまった。しかも生きている状態だったから新鮮に違いなかったし一目でいい魚だと分かった。
「後片付けは私が」
「いえ大丈夫ですよ」
「ここまでされて後片付けまでやらせていては東江家のメイドとして名が泣きます。どうかここは私のためと思ってお任せください」
「……それならお願いします」
「はい。お任せください」
東雲さんに片付けを任せテーブル席の輝夜の隣に着く。
「ねぇ、学人くん」
「どうした?」
「もしかしてだけど……何かあったの?」
輝夜とオンブルの考察をしていた愛理だが急にそんなことを聞いてきた。
「どうしてそう思うんだ?」
「だって、前回は信用できるかどうかを見ていた感じだけど今日はなりふり構ってられないって感じがしたよ」
まあ少し話を急にし過ぎた感じはするな。それにしてはよく見ている。
「学人、言うの?」
「あぁ、言う。これは少しでも知っている人がいればいいだろうからな。それを信じるかどうかは別だけど」
「そうね」
言おうとは思っていたがこの機会に言おう。
「六月十日に世界各地のダンジョンから異世界の軍団が襲い掛かってくるんだよ」
「六月十日ってちょうど三年になる日だよね……どういうこと?」
俺がマジで言っているのは分かっているだろうが本当かを信用できていない愛理。
「諸々説明を省いたらそこら辺しか言えないんだよな。東京ダンジョンは一千万の魔法が得意な敵が来る」
「……普通なら信用できないけど、今までの学人くんの功績と一年前に少し話題になった予知の話があれば信用できるかも」
「あぁ、あれね。あの予知は少し騒がれたわね」
「そうだよね!」
「何だそれ」
二人は通じているが俺は全く通じていない。
「一年くらい前にネットで話題になったのよ。自称予知のアビリティを持っている人がダンジョンが出現してから三年で災厄が訪れるって」
「へぇ。どうしてそれがもっと騒がれなかったんだ?」
「その自称予知アビリティ持ちが身バレして嘘つきだって知られたからこれもウソだってことになったんだよ」
「それは信じないな。でも予知アビリティは持っていたのかもしれないな」
予知アビリティか。そいつがしょうもない奴で会う機会があればアビリティを奪お。
「私も調べたんだけどそれ以上は情報が出てこなかったんだよねぇ。だからデマだと思って忘れていたんだけど……本当かもしれないね」
「私は最初から学人のことは信用しているわよ」
「……そうできたらいいんだけどね」
「その情報によっては、東江家も動かなければいけませんね」
後片付けをもう終わらせた東雲さんも話を聞いていたのだろう。
「この情報をどうするかは愛理に任せるよ。俺はそれを九十%は信じているからそれを前提に準備する」
「学人の目標レベルはあるのかしら?」
「そりゃ千だろ。輝夜は?」
「そうね……欲を言えば五百。少なくとも三百にはしたいわね」
今後のダンジョン攻略はどうしようかな。
「うん、決めた。私も学人くんを信じて動くね」
「そうか」
サブステータスを上げて無駄死にするのもそれはそれでアリだ。それだけの人間だということだけだからな。
さてさて、この情報でどうなることやら。
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そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
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