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都市開発本格始動
108:迷宮探索。
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「これ、迷路みたい」
「みたいというかそうでしょうね。ヒルくん、ヘルちゃん、離れるといけないから私と手を繋いでおきましょう」
「うん!」
「分かった!」
アヤの手を握りつつ、四人で迷宮の中を歩いて行く。
「こんな広い空間がまだ下にあったのね……」
「今まで気が付かなかった。不思議」
「何でだろうね?」
女性陣の中で唯一真実を知っているものが視線で責めてきているが、特には気にしない。
迷宮と言えばモンスターが出たり、宝箱があったり、ステータスがあってレベルが上がったりするのがラノベの定番だが、さすがに少女たちにモンスターが出る場所を自由に出入りできるのはまずいからな。
いいとこどりで宝箱だけを設置している。
「ん、何かある」
「何よ、あれ」
ダンジョンなら当たり前な赤い宝箱をアリスが発見した。
「開けてみる」
「いや、怪しいと思うわよって言いきる前に開けないの!」
アヤがつっこむまえにアリスが宝箱を開ける。
「……これって、お金?」
宝箱に入っていたのは大量の銅貨、金貨一枚分だった。
「それ、拾わない方がいいんじゃない? お金ってことは他人のものかもしれないわよ」
それを言うなら秘密基地だってそうだろ。
「でもこんな分かりやすいところに入っているんだから、もしかしたら拾ってほしいのかもしれないね」
拾ってもらうために設置しているのだから、それとなく説得する。
「確かにそうよね……」
「ならもらう」
大量の銅貨を手にするアリス。
「これで……お腹いっぱい……」
よだれを垂らしているアリス。金貨一枚をポツンと置いておくのも良かったが、それだとアリスたち子供が使うと怪しまれるから大量の銅貨にした。
「どうやって運ぶ? この宝箱を持っていくのは厳しいと思うわよ」
「……重い」
アリスが運ぼうとしても宝箱は動かない。というか動かせないようにしている。
「持てる分だけ運べばいいと思うよ」
「……でも、また来るのはメンドウ」
「そんなことを言わないの。また来ればいいわよ、どうせ運べないんだから」
「……分かった」
俺とアヤの説得でアリスは渋々納得してくれた。
「それに、これ以外にもあるみたいよ」
アヤが指差した先にはこの宝箱と同じ宝箱が存在していた。
アリスは宝箱の方に向かい、アヤはアリスを追いかける。
「アーサーさま。いったいどういうおつもりですか?」
「大丈夫。ちゃんと僕のお小遣いからお金は出しているから」
「そういう問題ではありません」
「そうなの?」
「とぼけるのはお止めください」
ベラは俺に近づいてきて問いただしてきているが、やってしまったのだからもう仕方がない。
「こういう空間は一回作ってみたいなぁって思って」
「……まだ、お一人でやられるのは分かります。ですが子供たちを巻き込むのはどういうおつもりですか?」
「こういう空間があればグレゴリーが喜んでくれるかなぁって思ったんだよ」
「……アーサーさまのお考えになられることはたまに分からなくなります」
「あー、ひどいなー」
「ヒルくん! ヘルちゃん! こっちよ!」
アヤに呼ばれて俺とヘルは二人の元に向かった。
四人で迷宮を迷いながらも宝探しをやり始めること一時間で、入り口に戻ってきた。
「色々なものがあったわね」
「あった。嬉しい」
「その眼鏡も似合っているわよ」
「ありがとう」
宝探しの途中で宝箱の中に魔眼を制御する魔道具を入れておき、それをアリスが気に入ったようでつけていた。
「これをつけてから調子がいい」
「ふーん、そうなのね。私がつけても何もなかったのに」
魔眼が制御されていることで必要以上にエネルギーが消費されずに調子が良くなっているアリス。
「私の一番気に入っている服はこれね」
「うん、似合ってる!」
「そう言ってもらえると嬉しいわ、ありがとう」
アヤは宝箱で見つけた少しお洒落な服を着て満足しているようだった。
「ヘルちゃんのその髪飾りも似合っているよ!」
「ありがとう!」
ヘルちゃんは本当に嬉しそうな感じで花の髪飾りをつけている。
まだまだ探していないところはあるから、俺がいなくてもアヤとアリスで迷宮探索をするだろうな。
でも一番喜びそうなグレゴリーが来ないことには少し残念だけどな……。
と思ったところで秘密基地にグレゴリーの気配がしてきて、迷宮に繋がる道をダッシュで向かってくる。
「な、何だここは!?」
迷宮に響き渡る声を出したグレゴリー。
「うるさいわよ。グレゴリー」
アヤは心底嫌な顔をしながらそう言う。
「いやいやいや! 何だよここ! 何で俺の許可なしにおりたんだよ!」
「あんたの許可なんていらないでしょ。あんたのものじゃないんだから」
「ここはリーダーである俺の許可がいるだろ!?」
「は? ……ハァ、そういう態度何とかしないと怒るわよ?」
「うっ……」
アヤが本気で嫌うみたいな目付きにグレゴリーは怯んだ。
「ここについては私たちは何も知らないわよ。行くのなら勝手に行けば? 私たちは出るから」
アヤはそう言って俺とヘルちゃんの手を引いて歩き始め、アリスは何も気にした感じを見せずに歩き始める。
……すぅ……これって、俺が悪いのか……?
「みたいというかそうでしょうね。ヒルくん、ヘルちゃん、離れるといけないから私と手を繋いでおきましょう」
「うん!」
「分かった!」
アヤの手を握りつつ、四人で迷宮の中を歩いて行く。
「こんな広い空間がまだ下にあったのね……」
「今まで気が付かなかった。不思議」
「何でだろうね?」
女性陣の中で唯一真実を知っているものが視線で責めてきているが、特には気にしない。
迷宮と言えばモンスターが出たり、宝箱があったり、ステータスがあってレベルが上がったりするのがラノベの定番だが、さすがに少女たちにモンスターが出る場所を自由に出入りできるのはまずいからな。
いいとこどりで宝箱だけを設置している。
「ん、何かある」
「何よ、あれ」
ダンジョンなら当たり前な赤い宝箱をアリスが発見した。
「開けてみる」
「いや、怪しいと思うわよって言いきる前に開けないの!」
アヤがつっこむまえにアリスが宝箱を開ける。
「……これって、お金?」
宝箱に入っていたのは大量の銅貨、金貨一枚分だった。
「それ、拾わない方がいいんじゃない? お金ってことは他人のものかもしれないわよ」
それを言うなら秘密基地だってそうだろ。
「でもこんな分かりやすいところに入っているんだから、もしかしたら拾ってほしいのかもしれないね」
拾ってもらうために設置しているのだから、それとなく説得する。
「確かにそうよね……」
「ならもらう」
大量の銅貨を手にするアリス。
「これで……お腹いっぱい……」
よだれを垂らしているアリス。金貨一枚をポツンと置いておくのも良かったが、それだとアリスたち子供が使うと怪しまれるから大量の銅貨にした。
「どうやって運ぶ? この宝箱を持っていくのは厳しいと思うわよ」
「……重い」
アリスが運ぼうとしても宝箱は動かない。というか動かせないようにしている。
「持てる分だけ運べばいいと思うよ」
「……でも、また来るのはメンドウ」
「そんなことを言わないの。また来ればいいわよ、どうせ運べないんだから」
「……分かった」
俺とアヤの説得でアリスは渋々納得してくれた。
「それに、これ以外にもあるみたいよ」
アヤが指差した先にはこの宝箱と同じ宝箱が存在していた。
アリスは宝箱の方に向かい、アヤはアリスを追いかける。
「アーサーさま。いったいどういうおつもりですか?」
「大丈夫。ちゃんと僕のお小遣いからお金は出しているから」
「そういう問題ではありません」
「そうなの?」
「とぼけるのはお止めください」
ベラは俺に近づいてきて問いただしてきているが、やってしまったのだからもう仕方がない。
「こういう空間は一回作ってみたいなぁって思って」
「……まだ、お一人でやられるのは分かります。ですが子供たちを巻き込むのはどういうおつもりですか?」
「こういう空間があればグレゴリーが喜んでくれるかなぁって思ったんだよ」
「……アーサーさまのお考えになられることはたまに分からなくなります」
「あー、ひどいなー」
「ヒルくん! ヘルちゃん! こっちよ!」
アヤに呼ばれて俺とヘルは二人の元に向かった。
四人で迷宮を迷いながらも宝探しをやり始めること一時間で、入り口に戻ってきた。
「色々なものがあったわね」
「あった。嬉しい」
「その眼鏡も似合っているわよ」
「ありがとう」
宝探しの途中で宝箱の中に魔眼を制御する魔道具を入れておき、それをアリスが気に入ったようでつけていた。
「これをつけてから調子がいい」
「ふーん、そうなのね。私がつけても何もなかったのに」
魔眼が制御されていることで必要以上にエネルギーが消費されずに調子が良くなっているアリス。
「私の一番気に入っている服はこれね」
「うん、似合ってる!」
「そう言ってもらえると嬉しいわ、ありがとう」
アヤは宝箱で見つけた少しお洒落な服を着て満足しているようだった。
「ヘルちゃんのその髪飾りも似合っているよ!」
「ありがとう!」
ヘルちゃんは本当に嬉しそうな感じで花の髪飾りをつけている。
まだまだ探していないところはあるから、俺がいなくてもアヤとアリスで迷宮探索をするだろうな。
でも一番喜びそうなグレゴリーが来ないことには少し残念だけどな……。
と思ったところで秘密基地にグレゴリーの気配がしてきて、迷宮に繋がる道をダッシュで向かってくる。
「な、何だここは!?」
迷宮に響き渡る声を出したグレゴリー。
「うるさいわよ。グレゴリー」
アヤは心底嫌な顔をしながらそう言う。
「いやいやいや! 何だよここ! 何で俺の許可なしにおりたんだよ!」
「あんたの許可なんていらないでしょ。あんたのものじゃないんだから」
「ここはリーダーである俺の許可がいるだろ!?」
「は? ……ハァ、そういう態度何とかしないと怒るわよ?」
「うっ……」
アヤが本気で嫌うみたいな目付きにグレゴリーは怯んだ。
「ここについては私たちは何も知らないわよ。行くのなら勝手に行けば? 私たちは出るから」
アヤはそう言って俺とヘルちゃんの手を引いて歩き始め、アリスは何も気にした感じを見せずに歩き始める。
……すぅ……これって、俺が悪いのか……?
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