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王都でも渦中
092:帰宅。
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行きの三日間は最後の方は少し退屈をしていたが、帰りの三日間は帰れるという解放感からか、ホログラムをグリーテンとベラと一緒にいじっていたからか分からないがすぐにランスロット領に入った。
「こういう建築様式は考え付かなかったわ、どうやって考え付いたの?」
「何となくだよ」
ホログラムでいじっていた街並みに興味津々なグリーテンに色々と質問を受けている時に思ったが、前世のような街並みにするのは少しもったいないと感じた。
前世の世界と同じというものは、こちらの世界の人たちにとっては新鮮なのだろうが、俺からすればあまり面白味に欠ける。
だからファンタジー要素と前世の世界の文明を融合させた方が面白いのではないかと思った。
超越した文明は魔法と大差がないように、いや超越した文明も作り出せれるのだけれど、本当に魔法を使ってしまえば超越した文明を再現することができる。
うん? それって意味が分からなくないか? まあいいか。
こう、天空都市とか、線路がなくても空中や海中など自由自在に走る列車とかだな。ファンタジーというよりも超文明だな。
「そう言えば、国王さまに呼ばれた用事は何だったの? 話せない内容なら言わなくてもいいよ」
グリーテンが馬車に転移してきて、すぐにホログラムに食いついていたからその話をすることはなかったから、一息ついた三日目に話題を振った。
「あぁ、それね。言ってはダメだけどアーサーなら問題ないし、面白かったからすぐにアーサーに伝えようかと思ったんだけど、アーサーがそれ以上に面白いものを作っていたから忘れていたわ」
国王さまから呼ばれた用件なのに忘れるのか。まあ魔道具に目がないグリーテンらしいと言えばグリーテンらしいが。
ていうかホログラムの件はグリーテンが興味津々になっていたせいで隠しきれるわけがなく、お父上様とお母上様にバレてしまった。
その時は何も言われなかったけど、何か考えているのならすぐに言うようにと釘をさされたけどね。
「国王に呼ばれたのは、アンリ・ペンドラゴンの件で呼ばれたのよ」
「アンリ・ペンドラゴンがどうかしたの?」
当事者であるが何も知らない風を装って聞く。
「ここだけの話だけど、アンリ・ペンドラゴンが女の子になったのよ! 面白いわよね!」
それはそれは嬉々として話しているグリーテンだが、その一方でベラはおかしなものを見るような目でグリーテンさんを見ていた。
「頭は、大丈夫ですか?」
「何よ、失礼ね」
「そんなことがあるわけがありません。それとも棒が切られて比喩で女の子になったということですか?」
「それが違うのよ。おっぱいも出て、体に丸みも帯びて、棒もなくなっている、正真正銘女の子になっていたわ」
「……そんなことがあり得るのですか?」
「さぁ? そんな事件は全く聞いたことがないわ。しかも私でも解けないくらいの弱体化の呪いをかけられているようだったわ。恨みを買い過ぎたのよ」
「……いい気味です」
「えぇ、そうね。私もアンリ・ペンドラゴンを見た瞬間に笑ってしまったわ。結局、誰もそれを直すことができないという結論が出されたわ。まあ、それを聞いたアンリ・ペンドラゴンが怒りながら文句を言って来たけど、ギネヴィア・ペンドラゴンに殴られて黙ったわ。彼女、何だか機嫌が悪そうだったけど」
へぇ、あのギネヴィアが殴るのか。何だか想像がつかないな。
もしかしてカミサマシミュレーションをして機嫌が悪かったのだろうか。
「男の子に戻れないってことで、色々と問題が起きているみたいよ。婚約者との話もあるみたいだし、今回のことでアンリ・ペンドラゴンがやっていた非人道的な行為も表立っている。どうなるのかしらね」
「まあ、アンリ・ペンドラゴンの自業自得ですね。私たちが知ったことではありません」
「それもそうね」
そのことは全く知らないな。誰がしたのか、まあ俺にはいい方向にしか行っていないから気にしないが。
これでランスロット家に帰るお土産話もできたし、気持ちよく帰れるな。
☆
一ヶ月も経っていないのに、懐かしく感じるランスロットの屋敷が馬車から見えた。
「ようやく帰ってこれたわねぇ」
「あなたの家ではありませんから帰ってこれたは間違っています」
「もうほとんどここに住んでいるんだからいいじゃない」
「いいえ、グリーテンさまはランスロットの屋敷では客人扱いですので、住んでいるわけではありません」
俺を挟んで俺の両隣でこんな感じで話しているが、もう慣れてしまったから無視しながら屋敷を見る。
街の中では俺たちが帰ってきたことに喜んでいるところが見える。
俺たちランスロット一行は帰ってきたが、サグラモール一行はまだたどり着いていないようだ。
クレアたちは俺たちが王都を出た後に出たようで、馬車の中で暇があればメッセージを送ってやり取りをしていた。
それにしても、シルヴィー姉さんとルーシー姉さんに数時間前にもう少しで帰るよというメッセージを送ったのに全く返してくれない。
いつもなら一分もかからずに返してくれるのに、今回は返してくれない。まあ別にそれでどうということはないのだが、いつもとは違うから少し不思議に思っているだけだ。
そんなことを考えていると、屋敷の前に馬車が止まった。
「おつかれさまです、アーサーさま」
「うん、ベラもおつかれ」
俺とグリーテンとベラが馬車から出ると、使用人たちが俺たちをお出迎えしてくれた。
お父上様とお母上様、メイド長のカーラも別の馬車から先に出ていた。
お出迎えしてくれた中に、シルヴィー姉さんとルーシー姉さんがいないかとキョロキョロしていると、屋敷の方からかなりの速度でこちらに向かってきているシルヴィー姉さんとルーシー姉さん。
「あっ! シルヴィーお姉ちゃん! ルーシーお姉ちゃん! ただいま!」
笑顔でシルヴィー姉さんとルーシー姉さんに手を振ると、猛ダッシュで二人がこちらに来た。
「アーサーアーサーアーサーアーサーアーサーアーサーアーサー! すぅぅぅぅぅぅ! アーサーの匂いだわ! アーサーとずっと会えなくて寂しかったわよ!」
「うぐっ! く、苦しいよ、ルーシーお姉ちゃん……」
ルーシー姉さんは俺にものすごい勢いで抱きついてきて俺のにおいをかいでいる。
一方のシルヴィー姉さんは俺が起きている間に何もしてこないかと思いきや、ルーシー姉さんを華麗に俺から剥がして俺を抱き締めた。
「……アーサー、おかえり」
「うん、ただいま。シルヴィーお姉ちゃん」
物理的に距離があった分、シルヴィー姉さんでも心境の変化があったのかもしれない。
ただこうして二人の姉と触れあっていることで帰ってきた感じがしてきた。
何はともあれ、無事に帰ってこれたことをホッとしよう。
「こういう建築様式は考え付かなかったわ、どうやって考え付いたの?」
「何となくだよ」
ホログラムでいじっていた街並みに興味津々なグリーテンに色々と質問を受けている時に思ったが、前世のような街並みにするのは少しもったいないと感じた。
前世の世界と同じというものは、こちらの世界の人たちにとっては新鮮なのだろうが、俺からすればあまり面白味に欠ける。
だからファンタジー要素と前世の世界の文明を融合させた方が面白いのではないかと思った。
超越した文明は魔法と大差がないように、いや超越した文明も作り出せれるのだけれど、本当に魔法を使ってしまえば超越した文明を再現することができる。
うん? それって意味が分からなくないか? まあいいか。
こう、天空都市とか、線路がなくても空中や海中など自由自在に走る列車とかだな。ファンタジーというよりも超文明だな。
「そう言えば、国王さまに呼ばれた用事は何だったの? 話せない内容なら言わなくてもいいよ」
グリーテンが馬車に転移してきて、すぐにホログラムに食いついていたからその話をすることはなかったから、一息ついた三日目に話題を振った。
「あぁ、それね。言ってはダメだけどアーサーなら問題ないし、面白かったからすぐにアーサーに伝えようかと思ったんだけど、アーサーがそれ以上に面白いものを作っていたから忘れていたわ」
国王さまから呼ばれた用件なのに忘れるのか。まあ魔道具に目がないグリーテンらしいと言えばグリーテンらしいが。
ていうかホログラムの件はグリーテンが興味津々になっていたせいで隠しきれるわけがなく、お父上様とお母上様にバレてしまった。
その時は何も言われなかったけど、何か考えているのならすぐに言うようにと釘をさされたけどね。
「国王に呼ばれたのは、アンリ・ペンドラゴンの件で呼ばれたのよ」
「アンリ・ペンドラゴンがどうかしたの?」
当事者であるが何も知らない風を装って聞く。
「ここだけの話だけど、アンリ・ペンドラゴンが女の子になったのよ! 面白いわよね!」
それはそれは嬉々として話しているグリーテンだが、その一方でベラはおかしなものを見るような目でグリーテンさんを見ていた。
「頭は、大丈夫ですか?」
「何よ、失礼ね」
「そんなことがあるわけがありません。それとも棒が切られて比喩で女の子になったということですか?」
「それが違うのよ。おっぱいも出て、体に丸みも帯びて、棒もなくなっている、正真正銘女の子になっていたわ」
「……そんなことがあり得るのですか?」
「さぁ? そんな事件は全く聞いたことがないわ。しかも私でも解けないくらいの弱体化の呪いをかけられているようだったわ。恨みを買い過ぎたのよ」
「……いい気味です」
「えぇ、そうね。私もアンリ・ペンドラゴンを見た瞬間に笑ってしまったわ。結局、誰もそれを直すことができないという結論が出されたわ。まあ、それを聞いたアンリ・ペンドラゴンが怒りながら文句を言って来たけど、ギネヴィア・ペンドラゴンに殴られて黙ったわ。彼女、何だか機嫌が悪そうだったけど」
へぇ、あのギネヴィアが殴るのか。何だか想像がつかないな。
もしかしてカミサマシミュレーションをして機嫌が悪かったのだろうか。
「男の子に戻れないってことで、色々と問題が起きているみたいよ。婚約者との話もあるみたいだし、今回のことでアンリ・ペンドラゴンがやっていた非人道的な行為も表立っている。どうなるのかしらね」
「まあ、アンリ・ペンドラゴンの自業自得ですね。私たちが知ったことではありません」
「それもそうね」
そのことは全く知らないな。誰がしたのか、まあ俺にはいい方向にしか行っていないから気にしないが。
これでランスロット家に帰るお土産話もできたし、気持ちよく帰れるな。
☆
一ヶ月も経っていないのに、懐かしく感じるランスロットの屋敷が馬車から見えた。
「ようやく帰ってこれたわねぇ」
「あなたの家ではありませんから帰ってこれたは間違っています」
「もうほとんどここに住んでいるんだからいいじゃない」
「いいえ、グリーテンさまはランスロットの屋敷では客人扱いですので、住んでいるわけではありません」
俺を挟んで俺の両隣でこんな感じで話しているが、もう慣れてしまったから無視しながら屋敷を見る。
街の中では俺たちが帰ってきたことに喜んでいるところが見える。
俺たちランスロット一行は帰ってきたが、サグラモール一行はまだたどり着いていないようだ。
クレアたちは俺たちが王都を出た後に出たようで、馬車の中で暇があればメッセージを送ってやり取りをしていた。
それにしても、シルヴィー姉さんとルーシー姉さんに数時間前にもう少しで帰るよというメッセージを送ったのに全く返してくれない。
いつもなら一分もかからずに返してくれるのに、今回は返してくれない。まあ別にそれでどうということはないのだが、いつもとは違うから少し不思議に思っているだけだ。
そんなことを考えていると、屋敷の前に馬車が止まった。
「おつかれさまです、アーサーさま」
「うん、ベラもおつかれ」
俺とグリーテンとベラが馬車から出ると、使用人たちが俺たちをお出迎えしてくれた。
お父上様とお母上様、メイド長のカーラも別の馬車から先に出ていた。
お出迎えしてくれた中に、シルヴィー姉さんとルーシー姉さんがいないかとキョロキョロしていると、屋敷の方からかなりの速度でこちらに向かってきているシルヴィー姉さんとルーシー姉さん。
「あっ! シルヴィーお姉ちゃん! ルーシーお姉ちゃん! ただいま!」
笑顔でシルヴィー姉さんとルーシー姉さんに手を振ると、猛ダッシュで二人がこちらに来た。
「アーサーアーサーアーサーアーサーアーサーアーサーアーサー! すぅぅぅぅぅぅ! アーサーの匂いだわ! アーサーとずっと会えなくて寂しかったわよ!」
「うぐっ! く、苦しいよ、ルーシーお姉ちゃん……」
ルーシー姉さんは俺にものすごい勢いで抱きついてきて俺のにおいをかいでいる。
一方のシルヴィー姉さんは俺が起きている間に何もしてこないかと思いきや、ルーシー姉さんを華麗に俺から剥がして俺を抱き締めた。
「……アーサー、おかえり」
「うん、ただいま。シルヴィーお姉ちゃん」
物理的に距離があった分、シルヴィー姉さんでも心境の変化があったのかもしれない。
ただこうして二人の姉と触れあっていることで帰ってきた感じがしてきた。
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